FAIRY TAIL - 蒼穹の巫女 - (ページ13)

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「……ッ、それは」

言葉を詰まらせ、俯く彼等に思わず溜め息を零す。── 今、此処でデリオラを復活させれば…戦う術を持たない村人達が巻き込まれる事は目に見えている。

それに街は滅ぼした悪魔が、この島を壊滅させるのなんて簡単な事だろう。加えてその零帝様とやらがデリオラを倒せなければ、巻き込まれるのはこの島だけじゃない。

この人達に文句を言ってもしょうがないかと魔法を解くと、エルザ達の話題に上がっていたと思わしき、傾いた神殿へと足を向けた。

「！グレイ」
「…………その声、もしかしてAか！？」

其の途中、見覚えのある後ろ姿に声を掛ける。驚いたように振り返ったグレイは一瞬、迷ったように私の名前を口にした。( 辛うじて見えているのは口元だけだろうから、しょうがないけど )

「今の状況は把握してるのか？」
「アクアが持ってる魔水晶を通して話は聞いてた。デリオラの話や、貴方と師匠の話もね」
「！そうか」

黙っているよりは良いかと話を聞いていた事を口にすれば、驚いたように目を見張ったグレイ。然し、直ぐに真剣な表情を受けた。

「今は時間がない。リオンと決着をつけねえと」
「あ…リオンって人が、零帝様とやらで良い訳？」
「嗚呼」
「分かった。元より、人様の対決に手を出すような事をするつもりは無いけど…デリオラだけは何とかしないと」

私の言葉に頷いたグレイが走り出し、私も後を追うように走る。止まっている相手に掛けるのとは違って、安定はしないけど…何もしないよりはマシだろうと怪我の酷そうな腹部から中心に治癒魔法を掛け始めた。

「サンキュー。殆ど痛みがなくなった」
「ん、それなら良いけど。……此処に？」
「嗚呼、これはリオンの氷だ」

神殿へと到着して、迷うこと無く進んで行くグレイ。そして暫くするとグレイのとはまた違う薄緑色の氷が張られた場所で足を止めた。グレイの言葉に氷の方へと意識を向ければ、微かでは有るけれど、ナツの声が聞こえて。

手に火を纏って氷の壁へと触れれば、徐々にヒビが入り始める。そして其処へ、蹴りを入れれば確かに空間が広がっていた。

「グレイ！？と……この匂い、Aか！？」

( 相変わらず、優れた嗅覚だこと ) ナツの言葉に、返事をするように軽く手を挙げる。それだけで私と分かったようで、少しだけ目を輝かせた。その様子を見るに、ナツからはS級クエストの事なんて抜け落ちてるんだろう。

「ナツ。此奴とのケジメはオレにつけさせてくれ」
「テメェ…！一回、負けてんじゃねえか」
「次はねえからよ。これで決着だ」

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