FAIRY TAIL - 蒼穹の巫女 - (ページ12)

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『……10年前、オレの住んでた街がデリオラに襲われた』

朱雀が空を飛んで島の周りを調査してくれている間、神殿を見付けて、其方に向かって歩いていれば鞄の方から聞こえて来た声。それは通信用魔水晶から聞こえて来たもので。

鞄に入れていた為に何かの拍子でお互いの通信が繋がったのだろう。映像は見えないけれど、声だけは聞こえて来て。アクアがエルザ達と合流してからは彼女達の会話は私にも筒抜けだった。

そして今、語られているのはグレイの過去なのだろう。盗み聞きしているようで申し訳無いが…状況を確認する為に通信を切る事はしなかった。

( 造形魔法は自由の魔法… ) グレイの過去話を聞きながら、右手で小さな花を造り出す。グレイとは属性の違う、火の造形魔法。

「…ッ！」

その時、不意に感じた気配。その場から飛び退けば、其処に刺さる複数の手裏剣のようなモノ。魔水晶を鞄の中に仕舞うと構えを取った。

「お前も妖精の尻尾の魔導士か！零帝様の邪魔はさせない…！」

外套を羽織り、更にはフードを被って居るから顔やギルドマークは見られて居ないだろうけど、此処に居る者は妖精の尻尾の魔導士と決め付けられているらしい。( それは間違ってはないけど…零帝様って誰 )

「ファイアメイク・鳥(バード)！」

大量に造り出した火の鳥。てっきり魔法で応戦して来るかと思ったものの…どうやら、ちゃんとした魔導士は数人しか居ないようで。

「見様見真似…ファイアメイク・牢獄(プリズン)！」

グレイが使っていた魔法では有るけれど…ウルという人物の言葉を信じるなら、私にも造れる筈だと構えを取る。そして出来上がった大きな牢獄が、襲って来た人達を捕らえた。

「火達磨になりたくなければ、触るの辞めた方が良いと思う」

話をする為に捕らえたのに牢獄の中で喚く人達に思わず眉を寄せる。けれど…触れようとした人に声を掛ければ、火達磨にはなりたくなかったのかその手を止めた。

「零帝様とやらが誰なのかは知らないけど、貴方達の目的はデリオラを復活させる事なの？」
「嗚呼、そうだとも」
「一体、何の為に」
「……私達はデリオラに全てを奪われたのです。家族も、友も、住んでいた街も」

ひとりが前へと出て来たかと思えば、私と同じように被っていたフードを取って顔を見せる。その頭には特徴的な飾りがあって。( 確か、グラーゴの民の… )

「全てを奪ったデリオラを倒したいって気持ちは分からなくもないけど…此処で復活させたら、この島がどうなるか…それは貴方達が一番良く分かってる事じゃない？」

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