君と薄い壁と僕 (ページ5)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:18,656 hit

O 5 ページ5

ㅤ

まぁ、けど
なんやかんやで検査結果が良かったみたいで
病院内を動き回れるようにはなった。

退院も一週間後に決まり
俺自身、学校に行ける～ってテンションが
超上がってるんだけど …

『ひろ … みつ』

俺の心の中に軽く引っかかるのは
こいつな訳で、
何だか心の一部がモヤモヤっとして
霧がかかった気分になっていた。

『 … 会いに行こう。』

そう決めたのはいいけれど、
患者が病室から出れる時間って決まってて
その時間も残り30分 …
って結構なとこまで迫ってる訳。

… ここはダッシュだ ‼︎

なんて思い立った瞬間

『 … ごほごほっ、ごほっ … 』

5歩ちょっと進んだところで
打ち砕かれてしまった。

藤ヶ谷太輔16歳、不甲斐ない …

学生張りの若さを失った今、
俺は歩くしかないという考えに辿り着いた。

『どこ … だったっけなぁ … 』

さっきから階段を上ったり下りたり
してるんだけど全く見えない宏光の病室。

確かに、さっき会った時は
フラフラしてたらたまたま見つけただけ
だったから …

『会いたいなぁ … 宏光』

そんなことを願いながらも、
諦めて病室へ戻ろうとした瞬間
またあの少し離れた所にある宏光の病室が
見えた。

ㅤ