【Q|K】夫に砂糖対応されている件について【fkr】

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「……川上さん割と適当ですよね？」

「内容聞いてよりな」



そこをなんとか、と頭を下げる。今すがれるのは彼しかいない。彼に見捨てられたら私はどうすれば良いのだ。いや、そこまで大事なことでもないのだけど。
顔を上げると、彼は腕を組んでなんだかんだ真面目に考えてくださっているようだった。私も彼を見習って、なにか良い案が無いか考えてみる。が、所詮は凡人の頭。良い案がそう簡単に浮かぶわけもなく。

結局、暫く考えを巡らせた後に潔く諦めて川上さんを見つめる。



「……変な目で見ないでほしいんだけどさ、一つ、思い付いた」

「大丈夫です。よっぽどのことでない限り変な目では見ません」

「なんか信用ならんけど、まぁようは手作りチョコより嬉しくて、めっちゃ簡単に用意できるもんをあげれば良いんだろ。だったら―――」








．








．








「……私は重大な人選ミスをおかしてしまったかもしれない」



今現在の鏡に写っている己の姿を見て、心の底からそう思った。頭には、普段は絶対に着けない大きめの赤いリボンの髪止め。服の上から適当に体に絡められているのは、今の私の顔のような、真っ赤なリボン。

所謂―――プレゼントは私作戦。えっと、彼は馬鹿なのだろうか。いや、そんな彼に頼ってしまい、そんな彼の意味不明な作戦を採用してしまったのは私だが。
川上さん曰く、「取り敢えず好きな人プレゼントされて気分害す奴は多分居ない、多分な」らしい。まぁ、あれだ。ほぼ憶測で尚且なんの信憑性もない、ハイリスクノーリターン、寧ろマイナスになる可能性のある作戦だ。



「…………まぁでも、ここまで来たからには後には引けない」



これがあの有名な、賽は投げられたという状況か。とぼんやり考える。
意を決して、リビングに通じる扉に手をかける。どうせ後には引けないのだ。チョコだって結局、ロッテの板チョコしか買えなかったし、こんな芋女にチョコ以上の魅力があるとは思えないが、信じるしかない。



「あ、星宮さんおかえ……り……」



私の姿を視界に入れた途端、驚いたようにぱちぱちと瞬きを繰り返す福良さんに、羞恥心というものが逆撫でされる。頑張れ私、ここで逃げた方が余計恥ずかしい目に逢うぞ。



「……ど、う……ですか……」

「……随分特殊なリボンの絡まり方したね？」

「違うそうじゃない」



顔が熱い。今すぐにでも、この場から逃げ出したい。足がすくむ。くっそう……もう意を決するしかない。

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