この薄汚れた世界の中で【2nd.】 (ページ9)

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#32 異変ページ9

『皆さん!』
建物の入口付近まで戻ると､すでに6人が待っていた……6人??

『あれ､潤兄は?』
小野｢途中から連絡取れなくて…あ､来た!｣
じゅんじゅーん!と手を振りながら駆けていく小野さん｡その先には､不自然に右足を引きずりながらこちらへ近づいてくる潤兄の姿があった｡
頭はだらんと下がっていて､その表情は見えない｡

いつもと､何か違う?

櫻井｢何か､潤…変じゃない?……ほんとに潤?｣
櫻井さんも同じ事を考えていたようで｡その身体が微かに強ばったのが見て取れた｡

周りが潤兄と距離を取ったその瞬間､勢いよく顔を上げ小野さんをギロリと睨みつける｡
それは､あの場所で死ぬほど見てきたのと同じ｡

＿＿＿＿あの目は｡

『っ､小野さん､近づいちゃダメ!!』
気づけば反射的に小野さんに体当たりをしていた｡同時に､右腕に熱が帯びる｡
小野｢わっ?!…あ､Aちゃん､腕が!｣
どうやら二の腕部分を切り裂かれたようだ｡

日野｢潤くん､どうして｣
間島｢もしかして何かされて…｣

《ご名答》

突然響く､聞き覚えのある声｡
それは､潤兄の胸についたピンバッジから聞こえていた｡

『高みの見物､って訳……久しぶりだね､幹部ｻﾝ』
《まぁそう怒るなよ､D-1978S｡それより本題だ｡コイツにはALICEの試作品を投与した》
神谷｢……さいっあく｣
『私じゃないんだ?ｗ』
《中途半端なモノは､君には似合わないからね｡取り敢えず成功の確認は出来たから､この出来損ないもお返しするよ｡

＿＿＿じゃあね､愛しい我が被検体》

『相変わらず気持ち悪……どうする､櫻井さん?』
櫻井｢潤も適合してたとはね｣
小野｢じゃあ､俺らで止めるから麻酔で､ってうわぁ?!｣

慌てたようにその場を飛び退く小野さん｡
先程まで彼が居た場所には､数本のダーツが突き刺さっていた｡
どうやら､潤兄の手から放たれたモノみたいだ｡

驚いて彼を見やると＿＿＿＿ニヤリと笑って駆け出した｡

駆け出したその先には､間島さんが居る｡
間島｢へ?……ぐあ"っ!!……っ｣
弾丸のような速さで迫って来た潤兄に対抗する術もなく､吹き飛ばされる間島さん｡

福山｢はは､弱……｣
その様子が頭にきたのか､

小野｢…潤､俺が相手だ｣
福山｢へぇ､お前が遊んでくれんの?｣
挑発をし始めるリーダー｡

予想以上に…これはヤバいかもしれない｡