この薄汚れた世界の中で【2nd.】 (ページ11)

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#34 奇襲(小野side) ページ11

『ねぇ､潤くーん!』
｢?!｣
福山｢ﾁｯ､何だよ…｣
突然､俺と潤の間に飛び込んで来た黒い物体｡
咄嗟に距離を取り､ナイフを構えると､

｢……え､Aちゃん?｣
そこに居たのはAちゃん｡何してんの｡

『潤､私とも遊んでよ』
福山｢なに?俺､今コイツと遊んで……っ!｣
『相手しろって言ってるんだけど?』

バッ､とその場から飛び退く潤｡
その頬にはうっすらと血が滲んでいた｡

『拒否権､あると思ってるの?』
どこか得意げな彼女の手には､2本のダーツ｡
潤が使った武器で仕返しを…?
そんな挑発､

福山｢へぇ､面白いじゃん＿＿＿いいよ｣

コイツが逃す訳ない｡

｢Aちゃん､無理しないで!俺がっ｣
『小野さん､大丈夫だから…潤､おいで?』
最後､潤を呼ぶ時の声があまりに優しくて､背中辺りが粟立つのを感じた｡

そんな俺には構わず､目の前で激しい攻防戦を繰り広げ始める2人｡俺でも防ぐので精一杯だったのに､何で彼女は対抗できるんだろう｡

そう､そこまでは分かっていたのに､
気づけなかったんだ｡

＿＿＿彼女の左腕に､注射針の痕があった事に｡
そこに滲んだ血が､鮮やかな赤だったことに｡

彼女は一体､何を企んでいる?