この薄汚れた世界の中で

#18 不意打ち ページ41

皆に受け入れてもらえた｡









その事が凄く嬉しかった｡
てっきり､拒絶されると思っていたから｡









部屋を出て､ほっと胸をなで下ろしていると､

日野｢Aちゃん｣
後を追うように部屋を出てきた日野さんが後ろから抱きつき､私の首筋に顔を埋める｡



それと同時にふわりと柔らかい感触がして､
ブランケットを掛けられたのだと分かった｡
『あ､ありがとうございます』
日野｢うん｡白衣だけだと透けるからね｡
あとさ……身体が疼くんなら､俺の所に来てくれて良いんだよ?｣


形の良い唇から紡がれたその言葉｡



表情までは見えないけど､回された手には確かに熱が集っていた｡



『え?』



日野｢俺なら､"身体だけ"なんて寂しい思いはさせないし､Aを愛し抜く自信もある｡
勿論､潤くんより気持ち良くさせるのも……
だからさ､俺にしときなよ｣
不意に耳元でそんな恥ずかしい台詞を言われ､
顔が熱くなるのを感じた｡



いつもなら､こんなのなんて慣れっこなのに｡




『な､何言ってるんですか｡ほら､離れて』
急いで日野さんを剥がし､離れさせる｡

日野｢こんなに照れてるのに?｣
彼は余裕な顔で私の額にキスを落とし､
日野｢まぁ､考えておいてよ｣
ニヤリと笑いながら部屋に戻って行った｡
あんなニヒルな笑みも出来るんだ……

いつもからは想像出来ないその表情に胸が締め付けられたような気がした｡






突然の出来事に何も出来ず立ち尽くしていると､



菅沼｢トイレ〜トイレに行きた〜い♪
……あれ､Aちゃんどしたの?お風呂は?｣
日野さんと入れ違いで出てきた菅沼さんに見つかった｡
『あ､いや､今行きます』
菅沼｢そう?っていうかなんか顔赤くない?熱ある?｣
『いやいや!そんな事は!!では!』

んー?と首を傾げる菅沼さんを置き去り､
シャワー室へと向かう｡







『ったく……どうして』
この顔の火照りは暫く治まらなさそうだ｡

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