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藤 「傘買ってくるから待ってて」
北 「ん・・・」
駅までの間にあるコンビニに辿り着くと、
貴方は混みあう店内へ1人で入って行った。
『ザーッ・・・』
北 「・・・」
軒下から見上げる雨の勢いは相変わらずで、
振り返って見るコンビニのガラスには、
ビショ濡れの自分が寂しそうに立っていた。
置いてかれちった・・・。
店内の混みようや、自分の成りを見れば、
2人で入っても・・・って事は分かってるが、
それでも・・・、少しも離れたくなかった・・・。
なんか凄く不安だから・・・。
その不安からか、
俺は1人になってまだ数分も経ってないのに、
苛立ちにも似た焦りを無駄に感じ始めた。
『カチッ、カチッ、カチッ』
北 「チッ」
近くの街頭を見てももぉ全然綺麗じゃないし、
自分の姿もまるで捨て犬みたいだし、
ポケットに入れてた煙草は火がつかないし、
何より貴方が・・・
北 「なんなんだよ・・・」
今の今まで自分は何処にいたのかと思うほどの、
まるで夢でも見ていたのかと思うほどの喪失感。
俺は力を無くしたようにその場に踞った。
『ザーッ・・・』
『コポッ・・・コポポ・・・』
北 「・・・」
地面に降り落ちる雨水がドブに流れていくのを見て、
何故だか無性に悲しく、そして目頭が熱くなった。
全部・・・、雨のせいだ・・・
全部・・・、全部流れちゃったじゃんか・・・。
数十分前までの楽しかった時間も、
花火を見たがっていた貴方の楽しみも、
俺に向けられたあの貴方の笑顔も・・・。
北 「・・・ーッ」
喪失感は段々とまた不安へと変わり、
俺はギュッと自分の膝を強く抱えた。
怖い・・・
だってあんな貴方を知らない・・・。
あんなに俺に素っ気ない貴方を・・・。
北 「・・・寒い」
濡れた体が、拭いきれない不安が、
俺の気持ちを酷く消失させた。
もぉ・・・、なんか・・・、全部・・・、終わりだ・・・。
藤 「お待たせ、どした?」
北 「・・・」
さっきまで・・・、あんなに楽しかったのに・・・
貴方を見上げたらまた目頭が熱くなった。
貴方とのくだらないやり取りが、
貴方の笑顔が、笑い声が、脳裏に蘇って苦しくて。
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朱蝶(プロフ) - いゆらんさん» いゆらんさん♪こんばんは(*^^*)んふふ、悶えてくださり嬉しい限りです(*´艸`)本当チューしたくなっちゃいますよね、分かります分かります、むしろ分かってくれて有難うございますです(笑)是非是非このお話で尾行気分を味わっちゃってください(笑) (2018年11月8日 19時) (レス) id: fea3ffa764 (このIDを非表示/違反報告)
いゆらん(プロフ) - こんにちは♪このラブラブな2人あ〜ぁんと言いながら悶え見てます。私が太輔さんなら今の状況でキスしたくなりますね〜笑この帰り道の2人に何処かであって尾行したい気持ちです(〃ω〃)続きを楽しみにお待ちしてます。 (2018年11月8日 15時) (レス) id: 3188bfb525 (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - MISAさん» MISA様♪そうなんです、一気にイチャりこしております(笑)やっとニヤニヤしてもらえるとこにきたので沢山ニヤニヤして頂けたら嬉しいです(*´艸`)よし、本当すぐにでも嫁ぎにいきたい!!私お掃除とゴミだしと裁縫ぐらいしか出来ませんが!!笑 (2018年11月5日 19時) (レス) id: fea3ffa764 (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - いゆらんさん» いゆらんさん♪こんばんは(*^^*)本当いつから片思いしてるんですかね(笑)それが明かされるかはまだ未定です(笑)きっと太輔さんもみつくん同様に色々思ってた筈です!みつくんはそれを信じられないようですが(笑) (2018年11月5日 19時) (レス) id: fea3ffa764 (このIDを非表示/違反報告)
MISA(プロフ) - なんだか甘酸っぱい両片思いが、一気に可愛いイチャイチャに変わりましたな。なんかニヤニヤしちゃいます。幸せな二人を見てるのはやっぱり良いですね〜。私らも遠距離恋愛に終止符打ちますか。いつでも嫁ぎに来てくださいな(笑) (2018年11月2日 8時) (レス) id: 53760f1b09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱蝶 | 作成日時:2018年8月7日 19時