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北 「・・・」
ぶら下がる自分の指のゴツさが何だか虚しかった。
すぐ隣で貴方の手が揺れているからかな・・・。
藤 「どしたの下見て、足痛い?」
北 「いや、サンダルに砂が入っただけ、へーき」
もし俺が女の子だったら、
こんな人混みの中はぐれないようにと、
きっと優しい貴方なら手を引いてあげるんだろうな。
『ザワザワ、ザワザワ』
北 「・・・。」
もし女の子だったらあんな風に・・・
周りの女の子達みたいに貴方に・・・
藤 「・・・ねぇ」
北 「?」
藤 「今年花火見れなくても来年一緒に見てくれる?」
北 「・・・、ぇ、うん」
返答が遅れたのは別の事を考えてたからじゃない。
声を掛けられ貴方の方を見た時、
一瞬本当に話を掛けられたか不安になったから。
確かに貴方の声がしたのに、
見上げた貴方は前を向いたままだし、
表情も意識も俺の方に向いてないような気がしたから。
何とも言えない違和感を感じたんだ。
でもどうやらそれは気のせいではなかったようで、
俺がそぉ返事をすると、
貴方は「本当に?」と優しく微笑んだ。前を向いたまま。
北 「当たり前じゃん、何だよ急に(笑)」
虫の知らせとでも言うのか、
何だか胸がザワザワとし出した。
俺はそれに抗うように少し大袈裟に笑って返した。
藤 「あのさ・・・」
北 「うん?」
藤 「宏光は何があっても俺と友達でいてくれる?」
北 「ぇ・・・、な、んだよ急に・・・」
明らかにさっきまでと何か違う空気。
胸のざわつきは酷くなる一方で、
それを更に増幅させるように、
生暖かい空気に混じって冷えた風が頬を撫で、
ポツ・・・と貴方を見上げる俺の顔に滴が落ちてきた。
北 「ぇ、雨?」
藤 「あーあ、中止かな・・・」
貴方はまるで全てが終わってしまったような、
そんな悲しそうな顔で空を見上げ、ため息をついた。
北 「また・・・、来年もあるよ」
そう言うと貴方はやっと俺を見た。
そして優しく、でも少し寂しそうに眉を下げて微笑んだ。
北 「・・・」
ねぇ・・・、なんでそんな顔すんだよ・・・。
まるで来年はないみたいじゃん・・・。
やだよ、来年も来ようよ。
そう言いたいのに怖くて口が開けなかった。
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朱蝶(プロフ) - いゆらんさん» いゆらんさん♪こんばんは(*^^*)んふふ、悶えてくださり嬉しい限りです(*´艸`)本当チューしたくなっちゃいますよね、分かります分かります、むしろ分かってくれて有難うございますです(笑)是非是非このお話で尾行気分を味わっちゃってください(笑) (2018年11月8日 19時) (レス) id: fea3ffa764 (このIDを非表示/違反報告)
いゆらん(プロフ) - こんにちは♪このラブラブな2人あ〜ぁんと言いながら悶え見てます。私が太輔さんなら今の状況でキスしたくなりますね〜笑この帰り道の2人に何処かであって尾行したい気持ちです(〃ω〃)続きを楽しみにお待ちしてます。 (2018年11月8日 15時) (レス) id: 3188bfb525 (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - MISAさん» MISA様♪そうなんです、一気にイチャりこしております(笑)やっとニヤニヤしてもらえるとこにきたので沢山ニヤニヤして頂けたら嬉しいです(*´艸`)よし、本当すぐにでも嫁ぎにいきたい!!私お掃除とゴミだしと裁縫ぐらいしか出来ませんが!!笑 (2018年11月5日 19時) (レス) id: fea3ffa764 (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - いゆらんさん» いゆらんさん♪こんばんは(*^^*)本当いつから片思いしてるんですかね(笑)それが明かされるかはまだ未定です(笑)きっと太輔さんもみつくん同様に色々思ってた筈です!みつくんはそれを信じられないようですが(笑) (2018年11月5日 19時) (レス) id: fea3ffa764 (このIDを非表示/違反報告)
MISA(プロフ) - なんだか甘酸っぱい両片思いが、一気に可愛いイチャイチャに変わりましたな。なんかニヤニヤしちゃいます。幸せな二人を見てるのはやっぱり良いですね〜。私らも遠距離恋愛に終止符打ちますか。いつでも嫁ぎに来てくださいな(笑) (2018年11月2日 8時) (レス) id: 53760f1b09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱蝶 | 作成日時:2018年8月7日 19時