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<カside>
藤 「お前は臆病でも役立たずでもない」
カ 「・・・」
『カチャカチャ・・・』
優しく微笑むお頭の傍らで、
総隊長は盃を用意し始めるとソレを俺達の前に置いた。
藤 「お前はただ、優しいだけなんだよ」
それだけなんだよ。
『自分』よりも『誰か』を大事にしてる。
藤 「だからって『自分』がない訳じゃねぇ」
お前は周りに流されに流されて生活してるようで、
実は地にしっかりと足を着いてる。
あの日お前の欲しいもんを聞いてそれは確信したよ。
全てはソコに向かってんだなって。
藤 「きっといざって時の根の強さはチビ助以上だ」
俺はお前のその芯の強さを感じた時すげぇ嬉しかった。
頼もしくなったなって心底思ったよ。
だからもっと成長して欲しいと思った。
お前の色んな可能性を試してやりてぇと思った。
戦略に長け、その人望から団結力を生み出せるチビ助に、
人を見る目に長け、用心深く、周りを大事に出来る、
そんなお前等がしかと二人三脚したら無敵だと思わねぇか?
『誰も傷付かなかった』ってのはきっと理想だ。
だけど『誰も命を落とさなかった』ってのは出来る。
簡単じゃねぇが、俺達はソレをずっと念頭に置いてきた。
俺はきっとお前等2人なら、
此処から離れてもそれが出来ると思ってる。
藤 「だからお前に副隊長を任せようと思った」
今回のこの俺の試みが上手くいきゃあ、
きっと華虎は人数は違えど華組に並ぶ隊になれる。
だが、それはお前次第だ。
これからは考えすぎるよりも先にチビ助に相談し、
時にはチビ助の判断に副隊として口出さなきゃならねぇ。
それが出来るか?
藤 「いや、出来るかじゃねぇな・・・やってくれるか?」
優しく微笑むその表情に、ふと・・・昔の記憶が甦った。
あれは・・・此処に残るかどうか決める時だ・・・。
あの時もお頭は俺等にちゃんと選択権を与え、
『好きにしていい』とでも言うように微笑んでくれた・・・。
あの時の俺は思ったんだ。
なんで「残れ」って引き止めてくれないんだろうって。
そう言ってくれたら喜んで二つ返事したのにって。
そんな悲しい気持ちもあったが、
それでもそんな優しい微笑みから離れたくなくて、
元々恩返しをいつか・・・とずっと思ってた俺等は、
特別悩むこともなく残る事を自分達で決めた。
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朱蝶(プロフ) - 恵さん» 頂けたら嬉しいですm(__)m (2019年1月9日 1時) (レス) id: fea3ffa764 (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - 恵さん» 恵さん♪初めまして、お逢い出来て嬉しいです(*^^*)お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。そして更新が止まってるにもかかわらず読んでくださり有難うございます(*^^*)っつか今は別のお話に集中してしまってるんですが、必ず続き書きますのでそれまで楽しみにして (2019年1月9日 1時) (レス) id: fea3ffa764 (このIDを非表示/違反報告)
恵 - こんばんは。舞ウ華ノ中、見ル景色。からファンになり作品見させていただいてます。リョースケとカズマの切ない想いに涙しまくりで続きが気になって仕方ありません。また作品の続きがかける時にぜひとも書いていただきたいです。これからも読ませていただきます! (2019年1月7日 1時) (レス) id: 6279219e3b (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - いゆらんさん» いゆらんサン♪こんばんは(*^^*)お頭はやっぱオチビ2人に比べたら大人ですからね(笑)たまには大人っぽいこともやってくれるんですよ(笑)背中を押されたリョースケがどうでるか楽しみですよね(*^^*) (2018年4月24日 20時) (レス) id: fea3ffa764 (このIDを非表示/違反報告)
いゆらん(プロフ) - おはようございます♪朱蝶様〜太輔さんのリョースケへのケシカケがスマート♪もう、頑張れっての言い方が本当に素敵です。リョースケの最後のまた、写すの言葉が振り向いてもらえるようにする所が愛らしいしいじらしく、ババ様は見守ってくよと応援してます(〃艸〃) (2018年4月23日 7時) (レス) id: 3188bfb525 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱蝶 | 作成日時:2018年3月15日 20時