＋2℃.

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＜藤side>








北 ｢ｽｩｰｰ･･･ﾌｩｩｰ･･･｣


藤 ｢･･････(笑)｣








抱き締めてた腕をほどいても、

北山はスゥスゥとどっかの有名な掃除機みたいに、

変わらない吸引力で俺の服を嗅いでいた。



そんな姿を可愛いとも思ったけど、

その内そのチャーミングな上向きの鼻に、

服が吸い込まれたらどうしようって想像したら笑えた。









北 ｢なに笑ってんの？｣


藤 ｢いや、飽きないのかなぁ〜って思って(笑)｣


北 ｢飽きない、好きだから｣









北山は結構匂いに敏感だと俺は思う。

香水を変えた時も仕事中の時は言ってこないけど、

2人っきりになると｢香水変えた？｣とか聞いてくる。



あとボディクリーム変えた時もそうだし、

うち来た時も匂いが違うとすぐ分かるみたいで、

俺はそれを毎度よく気付くなぁって思ってた。



でも特別香りに拘りはないみたいで、

何に変えても｢いいにおーい｣って鼻を引くつかせてる。



そんな匂いに敏感な北山に、

いつかトリュフとか探し当てそぉ〜。

なんて事も思った事あるぐらいだ。笑









藤 ｢そんな気に入ったなら暫く変えられないなぁ(笑)｣









でもこんなにずっと引っ付いてるのは珍しい。

この香りを選んだ時の自分を褒めたいし、

例え香りの事でも｢好き｣と言われて嬉しい。









北 ｢･･･。｣


藤 ｢ん？｣









よっぽど気に入ったんだなぁ〜って思ってたら、

引っ付いてた北山が離れ、俺をジッと見た。

そして｢やっぱ分かってないか｣なんて言われた。









藤 ｢え、何が？｣


北 ｢好きってのはお前の事だからな？｣


藤 ｢･････････え？｣









俺はこの香りが好きなんじゃなくて、

お前からする香りが好きなの。

別にコレじゃなくたってなんだっていいの。



って言われてちょっと放心。笑

だってじゃあさっきまで嗅いでたのは、

この服の匂いじゃなくて俺の匂いが好きって事？

それってつまり･･･









藤 ｢北山･･･体臭が好きなの？｣


北 ｢･････････なんでそうなる｣









わぉ、近年稀に見る真顔。笑

きっと見当違いな事言ったんだな、俺。

でもだって、なんかよく分からないんだもん。笑









北 ｢よし、言い方を変えましょう｣


藤 ｢はい、お願いします｣









北山がビシッと背筋を伸ばすから、

俺は応えるようにその場に正座をしてみた。

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