ソノ砦、本日モ華ガ舞ウ。< 2 >

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＜玉side>









あれから何度も季節は巡り、砦に何度目かの春が来た。









｢おーーいっ！！でかいの通るぞーっ！！｣


『ｻﾞﾜｻﾞﾜ…』


｢なぁ総隊長知らないっ！？｣


『ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ…』









山の桜も敷地の桜も満開になる頃うちは毎年大忙しだ。









玉 ｢〜♪｣


北 ｢あ、玉！頭知らないかっ！？｣


玉 ｢んー？さっき酒樽運んでたよ〜？｣


北 ｢わかったっ｣


玉 ｢あ、やぐら担当がミツ探してたよ〜？｣


北 ｢やぐらな、わかったっ｣


『ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ…』









何故なら盛大な花見が行われるからだ。









｢あーっお玉さん！すみません、｣


玉 ｢ん？あ〜道塞いでごめんにょ〜｣


｢あ、さっき二階堂さんが探してましたよ？｣


玉 ｢え、俺の事は見なかった事にしといて〜なはは(笑)｣









初めはうちの組だけで行われてた花見。

でも次の年には街の人達も呼ぶようになって、

更にその次の年には…









｢おっ！！尻尾ー！！！｣


玉 ｢あれ〜？来るの早くない？まだ準備中だよ？｣


｢おぅ、華烏に言われて手伝いに来たんだ｣


玉 ｢そなの？でも今、頭も総隊長も…あ！頭っ！｣


藤 ｢おっ！来たかーっ！！｣


｢旨い酒持ってきたぞ！！｣









近年、頭は近隣の組や山賊の所へ通うようになった。

それは制圧のためじゃなくて親交のために。

勿論簡単な話じゃなく、時には武力行使もあった。



でもお頭の努力は実を結び、

1年程で筆頭にした同盟がこの界隈で組まれた。



それからだ。

この花見に同盟の会合と名題をつけ、

お頭は他の組の人達を誘うようになった。









同盟名は華桜家(かおうけ)。









名付けは初めて会合が開かれた花見の最中だった。

こうして楽しく『桜』を見て酒を酌み交わし、

長く仲睦まじく『家族』のようにいたいって願いに、

他の組頭からうちが筆頭だと言う意味合いもと、

『華』の字が付け加えられ『華桜家』となった。









『相手を知らねぇから敵視すんだ』









だからまずは知り合えばいいんだよと、

敵視して争うのはそれからでもいいだろと、

そう言って他の組を纏めていったお頭。



同盟のお陰で危険な事は格段と減り、

街の手伝いも時には華桜家でやったりして、

他の組の奴等も街の人達と友好的になっていった。









お頭の優しさと願いはもぉ何年も守られてる。

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