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<北side>
雨が上がっても尚、太輔は戻らなかった。
でも俺はその場で待ち続けた。
雨で霞んだ景色はすっかり晴れた。
俺の気持ちもまた…、同じように晴れた…。
もぉ、立場とかそんなの1回取っ払おう。
全部…、全部アイツの言う通りだから。
俺は色々気にしすぎだった。
少しはアイツを見習わなきゃだ…。
アイツが帰ってきたら、まず謝ろう。
みっともなく縋るのだってありだ。
アイツがいつも全身で、何も包み隠さず、
真正面から向き合ってくれたように俺も…
.
『ザッ…ザッ…』
北 「!」
.
微かに聞こえる砂利が擦れる音に目を凝らすと、
子供を抱いて坂を登ってくる太輔がいた。
北 「ぁ…」
帰ってきた…
多少衣服がボロついてるが、
太輔は子供と何か話しているのか2人で笑っていた。
『ザッ…ザッ…』
藤 「よぉ、今けえったぞ」
北 「……お帰りなさいませ、ご無事で何よりです…」
偉そうにほくそ笑み、
俺を見下す太輔に俺は深く頭を下げた。
藤 「ほら降りろ、母ちゃんあそこにいんぞ」
子 「ままぁっ!!」
『タッタッタッ…』
北 「…」
子供が駆けてくのを横目にしたが、
俺はまだ頭を上げられずにいた。
あんだけ決意が固まったと思ったのに、
また…寄るなって言われたらと思うと…。
全く…コイツはいつも振り払っても来るってのに…。
俺って奴はたった1度突き放されただけで情けねぇ…。
藤 「…そんで?」
北 「…?」
藤 「折角帰ってきたってのにいつまでそうしてんだよ」
北 「…」
顔を上げると、
熱い抱擁でもあってもいいんじゃねぇの?
と、言うかのようにニンマリ顔をし、
腕を軽く広げ指先をクイクイとし、俺を誘った。
『ザッ』
北 「太輔っ!!」
藤 「っと、」
だから俺はその首元に勢いよく飛び付いた。
良かった…、良かった…、無事に帰ってきた…。
ちゃんと生きてる…、生きてる…。
感じる体温を自分に分けるようにキツく抱き締めた。
本当はちゃんと悪かったって言わなきゃいけねぇのに、
まるで出し方を忘れたように声が出なかった。
でも顔を向けると、太輔は微笑んでて、
俺はまたコイツに許されたんだって胸が苦しくなった。
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朱蝶(プロフ) - 稀嵐さん» 稀嵐サン♪あ~(笑)俺達出てるよ、すげぇなって笑ってて欲しいですね(笑) (2016年12月22日 1時) (レス) id: 79dba4bb20 (このIDを非表示/違反報告)
稀嵐(プロフ) - 朱蝶サンお返事ありがとうございます!今頃砦ではDVDの発売を記念して華組で鑑賞会しながら盃酌み交わしていて欲しいですね笑 (2016年12月21日 22時) (レス) id: 1f280d4abe (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - 稀嵐さん» 稀嵐サン初めまして、お逢いできて嬉しいです(*^^*)DVDからわざわざこちらに足を運んで頂き有難うございます!!私も井江で再びお頭と総隊長熱を拗らせております(笑) (2016年12月21日 19時) (レス) id: 79dba4bb20 (このIDを非表示/違反報告)
稀嵐(プロフ) - TourのDVDが発売されてPSYCHOをみたときに、この作品をふと読みたくなって最初から一気によみこんでしまいました!PSYCHO見ながらもあっ!お頭!とか総隊長〜!!なんて頭の中で変換しながら楽しんじゃいました笑 (2016年12月21日 18時) (レス) id: 1f280d4abe (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - つーちゃんさん» つーちゃんサン♪お久し振りです(*^^*)そうですよね、live行ってなければ分からない事ばかりですよね、すみません(^_^;)でも楽しんで頂けたみたいで良かったです、最後までお付き合い頂きまして有難うございました(*^^*) (2016年10月6日 17時) (レス) id: 79dba4bb20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱蝶 | 作成日時:2016年8月29日 21時