ソノ砦、本日モ華ガ舞ウ。< 2 >

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＜藤side>






俺は今、敵に同情してる。

力の過信はいけねぇとは分かってるが、

喧嘩を売る相手と時期を間違えたな…、俺は今…









『太輔っ！！待てってっ！！』


『俺が悪かったよっ！上着も着るよ、だからさ、』









.





ここ最近で1番機嫌がわりぃ





.









機嫌を取るように態度を改めるミツが煩わしかった。

俺が笑えば安堵したようなその顔が小賢しかった。



関係を断ち切ったのは自分のくせに、

自分が下手に出れば俺を思い通りに出来る…。

そんな風に見える態度が気に食わなかった。









『随分甘く見られたもんだな』









もぉ…お前もお前の背中の傷跡も、俺には関係ねぇ。

ヘラヘラせず頭の仕事を全うし堂々とする。

ソレがお前が望んだ俺の正しい姿なんだろ…？









『頭っ！！俺もやっぱ行く』


『…』









なのになんてツラすんだ…

なぁ…おめぇが心配してんのはなんだ？俺か？頭か？









『ｺﾂｺﾂ…』


『ｯｯ』


『しつこい』









何にせよ後悔をしてんなら、それは早ぇな。

するなら俺が死んでからだ。









北 ｢太輔っ！！｣









砦の門の所で再び呼び止められ、

万が一やられたらこれが最後…と思い振り返れば、

そこには変わらず情けねぇツラ。









北 ｢えっと…、上着…忘れてるぜ…？｣


藤 ｢忘れたんじゃねぇ、必要ないと思っただけだ｣


北 ｢太輔…｣


藤 ｢頭だ、てめぇは自分の言った決まりも守れねぇのか｣









俺はお前の望みを叶えるって腹括ったんだ、

なのにてめぇがその様とは納得がいかねぇ。









藤 ｢ミツ｣









おめぇは俺を捨ててでも、

貫き通してぇ事があったんだろ？









藤 ｢俺の前にいるのは総隊長だ、それ以外の何者でもねぇ｣


北 ｢…｣


藤 ｢違うなら目障りだ、もぉ寄るな｣


北 ｢…｣


『ｻﾞｻﾞｯ…』









ミツはその場に姿勢よく胡座を組むと、

俺を凛とした顔で見据えた。









北 ｢お頭、ご武運お祈り申し上げます｣


藤 ｢…｣


北 ｢何卒…、ご無事にお戻りになりますように｣


藤 ｢…｣


北 ｢此処でお待ちしております｣









そして深く頭を下げた。

そうだ…、それでいい…。

お前がソレを貫き通してこそ俺は…









藤 ｢ﾌｯ…行ってくる｣









この乗り込みで死んでもいいと、

お前に後悔させたいもんだと、笑って出向けるよ。

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