ソノ砦、本日モ華ガ舞ウ。< 2 >

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＜藤side>






ミツに切り捨てられた気持ちは再び苛立ちを覚え、

午前中は周りに当たり散らしてたが、

それでもミツの動向が気になってその姿を探せば、

相も変わらずそのままの姿…。









苛立ちは……ただの悲しみになった…。









自分の成長の無さと、

ミツのアノ言葉はやっぱただの繕いだったんだと…、

俺を言いくるめるだけの言葉だったんだと…、

情けねぇことにそんな風に思い詰めて辿り着いたのが…









アイツ…、本当に俺を好いてたのかな…









なんて処まできちまった…。

そんな訳ねぇ…と思いてぇが、

あんな立場がとか威厳がとか頭なんだからとか、

散々言われて、終いにはソレが原因で捨てられりゃ…









嫌でも、全ては砦を立て直すだったのかもな…









なんて思っちまう…。

俺が不甲斐ない頭だからよ…。

ミツは…しっかりしすぎだがな…。









藤 ｢はぁぁ…｣









なぁ…ミツ…。

アレは…シルシなんだろ…？

そうじゃねぇと……俺はまた駄目になっちまうよ…。

見ろよ…手の震えが止まんねぇんだぜ…？









藤 ｢ｸｸｯ…っとに…情けねぇなぁ…｣









『こんなもん隠しとくからいけねぇんだ』か…。

本当だな…、俺こそ本当に好いてたのかってな…。



ミツからしてみりゃ傷跡見たくねぇからだろって、

逃げてるだけだって思われててもおかしくねぇわ…。

本当に俺は嫌われちまったのかな…、それとも…









アイツは俺に本当の意味で立ち直って欲しいのかね…









って違うか…。

アイツは俺に可愛がられんのが嫌だったみたいだし、

嬉しくねぇ…って言われちまったしな…。

ただ本当に嫌だったんだろうな…。

試されてるんでもなく、

ただ普通に俺に嫌気がさしたんだろ…。









ﾊｧ……なら、この5年は……なんだったんだろうな…









もぉ…お前が頭になりゃいいよ…

俺は…もぉ…なんもしたくねぇ…









ミツのように自分も上着を脱ぎ捨てベッドに寝転がり、

ミツ…と言うよりあの傷跡を見たくねぇ一心で、

俺は部屋に籠っていた。すると暫くして…









『ﾄﾞﾀﾄﾞﾀｯﾄﾞﾀﾄﾞﾀｯ』


『ｺﾝｺﾝｯ』


｢お頭っ！！お休みの所失礼しますっ！！！｣









普段ならこの部屋には下のもんは近付かねぇのに、

荒ただしい足音に切羽詰まった声…、

只事じゃねぇと思い、置き上がり扉を開けに立った。

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