ソノ砦、本日モ華ガ舞ウ。< 2 >

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＜藤side>






あれから5年か…。






情けねぇな…。

俺はあれから何も変わっちゃいねぇんだ…。

恋仲やめるなんて言われた途端にコレだ…。









藤 ｢…｣









カタカタと震える指。

恋仲じゃなくなったなら、

あの傷痕にもう意味なんてねぇ…。

そう思ったら、俺にはアレは…。









『コレは俺らの愛のシルシって事だ』









あれは元々俺の気を紛らすためのマヤカシの言葉…。

ミツが俺を気にして言ったもんだって分かってた。









でも…それでも、縋りたかった…。









あの日の記憶から逃れたくて…、

いつまでも過ぎた事に足を引っ張られるのが嫌で…、

ミツを役職につけたり、前線に出す許可を出したり、

俺なりに払拭しようとしたが…無駄だった…。



自分で任命したクセに、

役職を全うしようとするミツの姿を見る度、

ミツが役に立てば立つほど、苦しかった…。



夜、ミツを抱えながら床につけば、

今日も無事に終わった…と安堵するのに、

俺の記憶は安堵を許さず、夢の中で俺を責め立てた。



あの日の記憶と今の記憶が混ざって、

時はあの日なのに行われてる作戦は今のもので、

ミツは何度も俺の前で崩れ落ちていく…。

そんな悪夢ばかり見るようになった…。



俺はもぉ嫌だったんだ…。

戦闘になれば、真っ先に狙われるのは俺で、

そんな俺の傍に誰よりも近くにいるのはミツだ…。



俺が頭である限り、またいつ同じ事が…。

誰よりも自分がミツを危険にさらしてる…。

ミツはこれからも俺のために体を張り続ける…。









自分が頭だから…。









って思えば、

頭なんてやらなきゃ良かった…って思う日もあって、

そう思った日こそ…やたらと主として振る舞った…。









そんな毎日に俺は疲れていた…。









だから…ミツからソレを言われた時、

もぉやめよう…と思った。









『お前を愛しすぎた俺のシルシだ』


『こうなったのは…お前が俺を愛したからだ…』


『だから…お前が付けたも同然だ』









始めはくだらない茶番だって思ったが、

俺の責だって…、頭じゃない俺をミツが責めたから…









だから頭としてミツに接するのをやめようと思った…。









ただの1人の男として責任もってあの傷ごと…、

ミツがいつまでも俺を責め続けられるように、

ミツがずっとこの傷があって良かったと…、

そう思い続けられるように愛してこうと思ったんだ…。

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