胡蝶しのぶ ページ9
目眩と吐き気がする。でもこれは毒なんかじゃない。体調管理を怠った私の責任、鎹鴉を脅してまで任務に行くんじゃなかった
善逸｢後で荼津にビンタでも食らっとけよ...結局俺が担ぐ側じゃないか。｣
｢...功績が欲しかった。自分の失態を上書きするために、功績が欲しかった｣
善逸｢だからってさ...あ、さっきの蟲柱さん｣
胡蝶｢鬼とは仲良くできないって云ってたくせに、なんなんですか？それだからみんなに嫌われるんですよ｣
修羅場、というものか。蟲柱である彼女が禰豆子を斬ろうとしている
当然だ。鬼を斬ることが鬼殺隊の目的なのだから
｢禰豆子...炭治郎...それに義勇兄まで...｣
善逸｢義勇兄？え？｣
｢水柱だよ｣
善逸｢...どんな関係？マジでどんな関係なの？ねえ！？｣
冨岡｢俺は嫌われていない｣
善逸｢(普通この状況で云うかなー！！！)｣
胡蝶｢自覚がなかったんですね...余計なことを云ってしまって、申し訳ありません｣
険悪な雰囲気。それよりも鬼と共にいる炭治郎は、このままでは確実に死ぬことになるだろう。下手に出れば私たちも死ぬことになる
でも私は考えることが苦手だ。こういう状況では尚更。
｢蟲柱、胡蝶しのぶ殿！階級癸の七味Aです！｣
善逸｢A！？｣
｢炭治郎の妹、禰豆子は確かに鬼です。我ら鬼殺隊は鬼を滅することが目的であることも承知しております！でも彼女は人を喰ってなどおりません！水柱である冨岡殿もそう判断しています！｣
胡蝶｢...｣
善逸｢...お、俺もそう思っています！｣
｢どうかお願いします！彼らは...｣
胡蝶｢鬼は斬る、それらは変わりません｣
あの人は私たちを見逃しているのか、目の前の敵を見据えているだけなのか...
どちらにしろ、炭治郎たちを護ることに変わりはない
｢斬らせない！｣
善逸｢行くな！｣
蟲柱の刃は重かった。彼女ほどの剣士なら、私のような未熟者をすぐに退けることができるだろう。それをしないということは...
胡蝶｢変なところで貴女は思考が発達しますね。ちょっと試してみましたが、貴女には才能があります。貴女は失うには惜しい人材...退きなさい。｣
｢隊員を斬ることはご法度。それを承知で申し上げますが、私は柱を斬ることになろうと二人を逃がす気でいます｣
胡蝶｢...継子を向かわせた｣
｢それでもあの二人なら逃げれる。そう信じています｣
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作者名：琲世 | 作成日時：2019年7月18日 11時
