『寝癖』直したら付き合います。【黒尾鉄朗】 (ページ11)

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寝癖直し11日目。ページ11

黒尾side

やっぱりコイツ気にしてんのかな。

後ろの席に座ってるこいつの事を気にしすぎてもちろん授業なんてそれどころじゃなかった。

いやコイツの反応に一々反応してる俺も気にしすぎてんのかもしれないけど。

ググッと力を込めたシャーペンはパキッと小さな音を立てて折れた。

「 …… 」

…… そもそも何でこいつは寝癖をあれだけ嫌がるんだろう。

ただ単にだらしなく見えるだけならだらしないから無理だと振ってくれればいいものを。

もう1度、俺の爆発しきった髪型に手をやり、ワックスで多少固まった毛先を触ってみた。

ツン、と尖った毛先はコイツの態度そのものみたいで、俺の心も打ち水をされたように温度が下がるのを感じた。

いやいや、そもそも俺はこの髪型を小学校から貫き通してきたんだ。

本当に今更だが直し方とかわかんねーし、まずこれが寝癖なのかすらわかららない。

その時だった。

授業終了を知らせる鐘と共に、教師は教室を速やかに出ていく。

大丈夫か、と後ろを振り向く間際に聞こえた言葉に俺は言葉を見失った。

寝ているAの肩をトントンと叩く同じクラスの女子。

「 Aちゃん、隣のクラスの男の子が呼んでるよ？」

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