『寝癖』直したら付き合います。【黒尾鉄朗】 (ページ13)

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寝癖直し13日目。ページ13

Aside

「 Aさん、ですよね、朝落としてましたよ」

『あっ、ごめんね～、ありがとう』

なーんてわざわざご丁寧に届けて貰ったものはハンカチだった。

ハンカチを落として届けてもらうなんてどこのラブコメだよって思う人もいると思う。

「いえいえ～…、あのところで…… 」

気がつけば話は右の耳から左の耳へと流れていて、その流れに合わせて視線も泳ぐ。

気がつけば私は隣のクラスの彼の髪型へと視線が行っているのだ。

寝癖はなくて、整った髪。

私はこの髪型が好きなはず。

だけど、私は何故か心がざわついていた、という形容では表現しきれないほどもやもやしていた。

この髪型が好きなはずなのに、何故か落ち着かないというか、安心できないというか。

「 ……あのー、聞いてました？」

『あ、ごめんなさい、考え事してて。もう1回、お願いします』

とっさに我に帰り、ペコペコと平謝りを繰り返す私。

ハンカチをポケットにすっとしまった。

「 Aさんさえ良ければ、ですけど。お昼ご飯、一緒に食べませんか？」

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