流れ星みっつ。 ページ3
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「お目覚めですか、姫」
う〜ん、と大きく背伸びをしている後姿に向かってからかうように呼びかけた。
恥ずかしそうに振り返ってうん、と笑う彼女の目はまだ少し眠気を残している。
持っていたバッグを手渡せば、慌てて受け取る彼女の反応が面白かった。
「(…まだ時間ある)」
夜までに残された時間は予想よりも多かった。
視界の端で、星のキャラクターが手を振りながらようこそ！と描かれている
看板が映った。観光名所で有名だからか、至るところに同じようなものが設けられている。
写真撮って！はしゃぐ子供の声を耳にしながら、手元に目線を落とした。
食べ物屋とお土産屋が飽きることなく並んでいるマップを見つめる。
どうやら、退屈をする心配はなさそうだ。
「アーヤ、何か食べようよ。」
振り返った先、スマホを見つめていた横顔に向かって言葉をかけた。
食べる、という言葉に反応したのか、「うん！」と瞳を輝かせる彼女に思わず笑みが零れる。
ガイドマップを手渡すと、きらきらとした表情でスイーツの欄にくるくると視線を動かす。
変わらないな。ふっと、漏れた笑みはこんなにも心地良い。
「このお団子が食べたい！」
マップから顔を上げてこちらを見つめる彼女に、仰せのままにと言葉を返す。
嬉しそうにガイドマップを両手で抱きしめて歩く横顔を見つめながら、
肺を満たす空気がいつもとは違うことに気づく。
何の穢れもない、清らかな空気。心が安らいでいくのは、空気のせいか、それとも。
「翼は何の味が食べたい？」
振り返る彼女に、笑う。何だか不思議な気分だった。遠く離れたこの地で、
彼女と２人でこうして歩いていることが。彼女の隣を歩いていることが。
「きなこかなぁ」
「私はみたらし団子。」
ぐるぐると、頭の中に渦を巻いていた余計なものが柔らかく薄らいでいくような感覚を覚えた。
そう、まるでこの雲みたいに。何のおかげだろうか、なんて。分かりきった疑問に、
思わず笑ってしまう。横を見る。隣には無邪気に微笑む笑顔があった。
分かっているのだ。とっくに。
「本当にアーヤは甘いもの好きだね。」
左肩には、まだ温もりが残っていた。
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K - 誰との結婚式ですか？ (2019年8月18日 20時) (
レス) id: 70bbe6910f (このIDを非表示/違反報告)
yossy(プロフ) - とても綺麗で切ない作品でした。黒猫での翼の気持ちとこの作品での翼がリンクします。大好きなK'Sシリーズ。これからも楽しみにしています。 (2018年12月29日 3時) (レス) id: ce568f86b1 (このIDを非表示/違反報告)
0 - あと、kobato*さんの作品一覧表を見させていただきましたが、パスワードがけっこう掛けられていたので、少し残念です。もしよかったら、作品を公開していただけないでしょうか？勝手なお願いで申し訳ありません。 (2018年9月30日 20時) (レス) id: e2992bba0e (このIDを非表示/違反報告)
0 - ありがとうございます！もし書けたら、タイトル教えてください！ (2018年9月30日 20時) (レス) id: e2992bba0e (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - 0さん» 0さん、コメント本当にありがとうございます。今はなんというか…書きたいものの書ききって小説からは遠ざかっていたので0さんのコメント本当に嬉しかったです…！どれくらい時間がかかるか分かりませんが頑張ります！ (2018年9月24日 14時) (レス) id: da506c070e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kobato* | 作成日時：2017年7月22日 19時
