53.いつもと違う ページ4
夢主Side
『いっ…！？』
魘夢さんに迫られ驚いた直後、私の腕と頬に鋭い痛みを感じた。
何が起こったのか分からなかった。
魘夢さんの行動は早すぎて目で追えなかった。気がついた時には腕を掴まれていた。
頬に生温い感覚が伝った。
それは、鉄の匂いがした。
………血。
魘夢さんに爪を立てられた頬から血が出ている。
離してください、と魘夢さんに言おうと彼の顔を見た瞬間、ぞくりとした感覚とともに、全身の血の気がひいた。
私の目に映ったものは今までに見たことのない、狂気の混ざった虚ろな表情だった。
その瞳は、私をしっかりと捉えていた。
あまりの恐ろしさに私はその場で足を崩した。すると魘夢さんも私の腕を掴んだまましゃがみこんだ。
魘「ねえ、Aちゃん。…どうしてそんな態度をとるの？
どうして俺に冷たくするの？
わかってないって、何のこと？
俺は何をわかってないの？
教えてよ、Aちゃん。
俺ね、すっごく不思議なんだ。
他の人間にはどんな態度を取られてもなーんとも思わないんだけど、Aちゃんから冷たく接されるとすっごくムカムカするんだ。
何でだろうね？不思議だねぇ。」
その言葉と共に、魘夢さんの手にぐっと力が加わる。
痛い、怖い。
恐怖で頭が回らない、彼が何を言っているのか全く理解ができない。
動揺で上手く呼吸が出来ない。
自分の荒い呼吸が煩い。
こんな魘夢さん、私の知ってる魘夢さんじゃない。
魘夢さんは優しくて、強くて、いつでも私を守ってくれる鬼だ。
どうして……
するとふと、さっき出会った鬼殺隊の人が言っていた言葉が頭をよぎった。
“いつ裏切られて喰われるかわからない！！！”
眉間にシワを寄せ、くわっと目を開き必死に私に訴えかけてきたあの少年の言葉。
…気がつけば、私は涙を流していた。
何が悲しいのかわからない。でも、胸の奥が押しつぶされそうなほど苦しくなった。
喰われるのが怖い訳じゃない。
死ぬのが怖いわけじゃない。
ただ、魘夢さんに裏切られて、もう無惨様にも、鳴女さんにも、童磨さんにも、猗窩座さんにも、他の鬼のみんなに会えなくなるのが、何よりも怖かった。
……勿論、魘夢さんにも。
とそんなことを思い、涙をぼろぼろと流して泣いていると、私の腕を掴んでいる魘夢さんの手の力が緩った。
魘夢さんの顔を見ると、口を開けて目を見開き、どこか切なそうな表情で泣いている私をただまっすぐと見ていた。
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ラブ - めっちゃ感動しました (2022年10月22日 0時) (
レス) @page11 id: 61db7e24bc (このIDを非表示/違反報告)
ささき(プロフ) - 初めまして(^^)とっても面白くて一気に読んでしましました！またお時間ある時に、続きをお願い致しますm(_ _)m (2020年12月13日 15時) (レス) id: 0a7371db4e (このIDを非表示/違反報告)
鮭大根大好き - 劇場版，，，最高でした！！魘夢何て可愛いんでしょう，，このお話の魘夢ちゃんもめちゃめちゃ可愛いです！更新頑張ってください！ (2020年11月7日 11時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
☆李浩☆(プロフ) - あんな可愛い鬼を倒すとか私には無理…。魘夢君に支配されたい！//// (2020年10月24日 5時) (レス) id: f99bb8b48c (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄遣い装置 - 魘夢様に，夜子守歌歌って欲しいです笑笑ねんねんころり，，，可愛いすぎますね(^○^) (2020年9月28日 16時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紗娥女 | 作成日時：2020年4月13日 0時
