医神と行く地獄巡り2【呪術廻戦】 (ページ17)

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骸ページ17

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「いい夜だと思わないかい」

深い夜に輝く月。人気のない山で
夏油傑は目の前の子供の人型に声を掛けた。
濁ったグレーの瞳はこちらへと向けて微笑んだ。

「なんですかそれ。俺に言ってるんです？」

「君じゃなければ誰にも言う相手がいないからね」

違うかい？と問えば少年はくすくすと笑った。
一通り笑って、少年は夏油の瞳の奥を覗くように見つめ返す。

「俺じゃなくても、その皮と話せば良いんじゃないですか？」

「皮？何かな？」

「とぼけるならそれでいいですよ。追求はしません」と少年は微笑んで真っ白の花束を大事そうに抱え直した。

「俺を手に入れたいのは心中お察しします、ですが生憎、俺自身のことで手一杯でして。」

「気づいていたのか」

「それはもう。熱烈な視線を注がれても困りますので。」

夏油傑は呪霊を従わせる事が出来る。
それは目の前にいる少年にも該当する呪術。
少年との距離は1m。手を伸ばせば届く距離だった。
だからこそ、少年は静かに棘を刺したのだ。

「貴方が正しく、生きたいと願うのなら私が答えると思いますよ。」

ぴくり、と夏油の右手が僅かに反応する。

「人間諸共滅べばいい、と思っているのが私ですからね」そう少年は微笑んだ。

ボン！！と爆裂音が響く。
その後の風圧でザワザワと木々がざわめいていった。

「あはは。丁度いいタイミングですね。大事な大事な親友がいらっしゃるようですよ」

「そうだね」

「姿を見せてあげないんですか？」

「そういう君も姿を見せてあげないのかい」

そう問えば少年は心底嫌そうな顔をした。
「絶対に嫌ですね。俺の身体が拒絶しているので、相当ですよこれ」と舌を出していた。

「俺の身体を見つけて使うくらいなんだ。全面戦争待ったナシですよ」

あの五条悟と仁和Aの地雷の一つを踏み抜いているんだから、骨が残れば奇跡ってやつだろうね。

「俺の術式をまるっきり引き継いだ愛しい妹に俺達を溺愛した最強呪術師と来たわけですよ。戦争ですね。
それに、その体が壊れて俺を乗っ取って自由にやろう～なんて思ってたんでしょうけど、貴方が耐えきれるならの話です。」

ただでさえ俺でも引っ張られそうな状況ですし……と少年は首を傾げる。

【俺の体の記憶が無くなってからが本番です。鬼ごっこしましょうか。】

ぱしん、と口元を手で抑える。
夏油と見つめあって、少年は苦笑した。

「だ、そうですよ」

「……手強い相手だな」

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