幕間 ページ26
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なんだかいい香りがする。
ゆるりと意識をあげると彼女の後ろ姿が見えた。
チーン、と軽快な音がする。
温かい匂いが食欲を擽った。
「おわ。驚いた。起きたの？」
「うん。何つくってんの」
「フレンチトースト」
「…なにそれ？」
「こんな最っ高に幸せを詰め込んだこの料理を知らないとは勿体ないな悟くん」
さあ、席に着くのです。
お姉さんがほっぺた落ちるくらいのとーーーっても美味しい
魔法のトーストを食べさせてあげよう！
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さく、とナイフが入る。
とろとろと黄色のソースが垂れて甘い香りが充満する。
追加のごとく茶色いソースがかけられていく。
「それなに？」
「メープルシロップ。カナダで作られてるんだよ。」
「かなだ？」
「ふふ。後で世界地図みよっか。」
「うん。」
きらきら、つやつや。
どうやって食べるんだろうか。と首を傾げていると
フォークに刺されたトーストが目の前に差し出された。
「どーぞ」
「……イタダキマス。」
さく。ふわ。とろ。じゅわわ。
口の中でいっぱいの甘味。
己の目が輝くのが解る。おいしい。とってもおいしい。
今度は自分でナイフとフォークを持つ。
手には合わない大きさに苦労しつつも切り分けて
はぐっと噛み付く。
「どうよ」
「おいしい！」
「ふふん。そーでしょ？うちのエミヤママ秘伝のレシピだからね。」
もぐもぐもぐ、と口いっぱいに食べていると彼女は蕩けるように微笑む。
続けて彼女は言う。
「貴方は幸福の味を知るべきだったんだね」
今の貴方は生き生きとしてるよ。
くすくすと頬杖をついてそう笑った。
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作者名：目 | 作成日時：2020年11月28日 1時
