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ーーなんて夫婦コントしながら目の前でイチャイチャとされていると
ちょっと意地悪したくなるわけで。
なんでって。俺の好きな香りをつけてるんだから当然でしょ。
ゆっくりと身体を起こして、2人へと向き直す。
綺麗な兄妹だと思う。
1人は黒髪のナチュラルマッシュにグレーの瞳。
よく見ると虹彩異色症により一部の色が変わっている。
1人は同じ黒髪のロングヘアーに緑色の瞳。
世界で2%程でしか見かけない色。
互いに珍しい瞳を持っている。
じーっと見ているとお兄様の方が眉間に皺を寄せていく。
見世物じゃないぞ、また叩かれたいんですか？と
言わんばかりに左手をあげるので妹の方へと目を移せば、ばちりと目が合う。
少し眉を下げて首を傾げる彼女。
あの時は強気な性格だったのに。随分と幼く小さくなってしまった。
彼女に近い左手を少し伸ばす。
触れても良いのだろうか、と少し躊躇して動きを止めれば彼女の方から手を伸ばしてきた。
小さな手が俺の左手に触れている。
ぞくり、と腰から背筋にかけて電気信号が飛び交うように跳ね上がる。
欲しいなあ。彼女が目の前にいる。居なくなった彼女が目の前にいる。
俺の好きな香りを纏ってそこに居る。
約束した通りのまま生が変わっても、つけている。
「……あの、？」
ぎゅ、と手を握る。
愛おしいと言うものだろう。苦しい程に愛おしい。
あの時みたいに冷たくもない温かい肌。
彼女は輪廻を廻して生きている。
「………君の、名前を教えてくれる？」
そう問えば右からの兄の視線が貫いてくる。
「……？、……えっと、仁和、Aです。
よく、にんな、って読まれるんですけど、じんわって読みます。」
えへへ……と微笑む彼女。
「となりは、おにいちゃんです。王に里って書いてまことって読みます。」
それから……と続けて
「おにいさんの、おなまえ、は？」
「………僕は、五条悟。数字の五に条約の条。心に五と口って書いてさとる。
……悟お兄ちゃんって呼んでくれてもいいよ。」
「……さとるおにいちゃん？」
「好き」
「吹き飛べ変態！！！！！！」
「ｯｯあいたァ！！！！？？？？？」
「ひっ！？」
すこーん！とペットボトルが飛んできて、丁度蓋の角に額を撃たれた。
ずんずんずんと歩み寄り彼女の前に立ち上がるお兄様。
ぎゅ、と彼の腰あたりに抱きつく彼女が見えて、俺にすればいいのになあなんて思ってたらまた勢いよくペットボトルが追い討ちの如く後頭部へと直撃した。
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作者名：目 | 作成日時：2020年11月28日 1時
