【d!/軍パロ】暗闇が見えた (ページ5)

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ジジッ…ザッ…

「へ…？」

絶望している私の耳に機械音が届いた

ザザッ…

「この音は…どこから？」

音の方を見上げると木に引っ掛かっている彼のポケットから黒い機械が見える
そこから流れている

「なんの音…？」

静かに耳をすませる……

〈ザザッ…せ…！…ジッ…だい……！〉

人の…声…？

〈ジジッ……応答しろ…！！…大先生…！！！〉

人の声！！！

「助けて！！助けて下さい！！！」

〈大先生！大先生！…はよう、反応しろや！！〉

全力で叫んでみたが届いていない…！
この機械、何かを弄らないとといけないのか？

崖の引っ掛かりを掴んでいる手に力を込め、
反対の手で彼のポケットにある黒い機械に手を伸ばす

「上手く…取れて…！…っ〜〜！」

木がまた一段と深く傾いた

「ひゃあっ！？」

そして落下してくる黒い機械
焦り恐怖しすぐに手を伸ばし掴む

「あっ…ぶなかったー……はぁ…はぁ…」

木の傾きは止まらない

「っすぐに、すぐに助けを呼ばなきゃ…！」

黒い機械の正体は小型の通信機、
四角く黒いものから、コードが出ていて、イヤホンと、ピンについているマイクと、繋がっている

「どこっ……どこをどうすれば繋がるの…」

〈大先生…！…クッソ！お願いや…今生のお願いやから…〉

こうしている間にも機器の向こう側からの
必死で後悔や悲しみの思いのこもった声が聞こえてくる

〈いなくならんといてや……〉

「…！！あった！これだ！！！」

カチッ

急いでスイッチを入れる

「助けて…下さい！」

〈っ！？大…！…先生じゃないよな？……
……誰や〉

先程までとは変わり怖い声でこちらが誰か聞いてくる
「ひ…」
いや、でもそれだけ彼にとってこのスーツの男性は大切なのだろう

「わ、わた、しは…」

久しぶりの人とのまともな会話、
罵倒ではなく文句ではなく謝罪ではなく…

少し上擦る

「わたし…は、このくたびれたスーツで眼鏡をかけた………えと、だ、大先生？って人、とたまたま会った者です」

〈大先生と！ほんまか！！？…今大先生は何処に？何故あなたが通信機を？〉

グラッ

「きゃっ！？」

〈大丈夫か！？〉

木が…もう時間が無い

「すみません、とりあえず聞いてください……今××国の森の先の崖にいて、落ちかけているんです！その…大先生？って人と一緒に！…どうにか崖の途中で今は引っ掛かっていますが、もう、いつ落ちても、可笑しくない状態なんです！！！」

〈直ぐに！仲間に向かわせる！！〉