これで最後だから 〜アーヤ視点 ページ37
私は、上杉君の事が好きなの?
翼に、そう見えるの?
胸がイタイ。翼がそういうと、すっごく苦しい。私、翼にちゃんと信じられてなかったってこと...?
嫌だよ、そんなの。ずっと翼の彼女でいたい。だから、そんなこと言わないで。
でも、心の中で、もう一つの声が言う。
『よく考えて。本当は、上杉君の事が気になってたんじゃないの?』
「まさか...私はちゃんと翼の告白を受けたんだよ?そんなことありえない。」
『本当にずっと翼の彼女でいたい?ほかの子じゃなくていいの?』
「私はっ...!」
頭の中で、声が次々と飛び交い、私を混乱させる。
頭が痛い。
助けて...
助けてよ...
誰か...
助けて...
「上杉君。」
気が付いたら、声に出していた。
目の前に、硬直している翼が。
でも、彼はすぐに微笑んだ。
「ほらね。やっぱり、上杉じゃん。」
私、助けを求めていて...上杉君の名前を。
「翼...ほん、とうに、ごめんな、さい...」涙があふれてきて、声が途切れる。
本当に、申し訳ない。翼はちゃんと私の事が好きでいるのに、私から交際をやめてくださいって言うのは本当に申し訳なくて。
自分の事が情けなくて。
翼の事が好きじゃなくて悔しくて。
本当に、本当に、ごめんなさい...!
翼は涙で顔がグチャグチャになった私をそっと抱きしめてくれた。
「ちゃんと、上杉のとこに行きな。」翼はゆっくりと言葉を言いながら、片手で私の頭をなでてくれてる。「俺、アーヤと付き合えてすっごく嬉しかったよ。」
しばらく翼は私の事を抱きしめていて...
やっと泣き終わり、私は俯いて翼から離れた。
「アーヤ。これで、最後だから。」
そう言って翼は私の触れるだけのキスをした。
その時の彼の顔を、一生忘れられない。
悲しそうに、でも作り物じゃない笑顔を私の向けて。
「ありがとう、翼。」
私は歩き出した。
振り返らずに。
ごめんなさいはもう言わない。
翼が悲しくなるから。
さようならはもう言わない。
翼が苦しくなるから。
でも、ありがとうは...いいよね?
こんにちはでもない、さようならでもない。
64人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう - 今度は、上彩か、小彩が見たいです (2018年9月1日 12時) (レス) id: da04278cc9 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - と〜ても面白かったです♪KZ大好きです! (2017年9月8日 16時) (レス) id: b396f5318f (このIDを非表示/違反報告)
栞菜 - Gで、上杉君アーヤの事を名前呼びしていた気が・・・。あと、小説面白かったです! (2017年7月22日 18時) (レス) id: 7d102e222b (このIDを非表示/違反報告)
白梅(プロフ) - あぐりさん» それは確かにそうですが、はっきりとした恋心が芽生えた上杉くんなら呼び名くらいは変わると思います。あとは大した最新をしなにのにわざわざ見に来てくださる方に申し訳なく思います。わざわざ注意して頂き、ありがとうございます (2016年11月20日 22時) (レス) id: 69a9555859 (このIDを非表示/違反報告)
あぐり - 上杉は、アーヤのことを立花と名字で呼んでいますよ。直されたほうがよいかと (2016年11月20日 13時) (レス) id: d7a9f1ad50 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白梅 | 作成日時:2016年1月4日 5時