金髪野郎 〜若王子視点 ページ19
ドアがぱたんと閉まる前に、俺はできるだけ怖い目つきであの金髪野郎をにらんだ。
なんだよ、あいつ。
立花さんを連れ出して。
丁度俺が話しかけるところだったのに、俺の視線を感じてわざと避けたな。
フン、臆病者だ。
...でも、やっぱりあいつと立花さんの関係が気になる。そう思い、俺は一番話してくれそうな小塚に近寄った。
「なぁ、小塚...さん。」つい、敬語なしで話しかけようとしたけど、できるだけ情報を引き出すためには優しく接しなきゃいけないと思い、俺は急いで「さん」をつけた。
「どうしたの?」
小塚が優しく笑いながら俺のほうを向く。
「あ、その。えー立花彩さんって、皆さんとどういう関係なんですか?...特に、あの美門ってやつと。」
そう言った途端、KZの連中が話をとめ、一気に俺のほうを振り向いた。
「なんでだ?」
上杉が目を吊り上げて聞いてくる。
「ただなにかあいつらの関係に違和感があったからだ。不思議に思って、聞いただけ。」
「...違和感。」黒木が目を光らせた。
「なかなか鋭いな、若王子。」若武が吐き捨てるように言う。
...全然、褒められた気がしない。いや、そういう意味じゃない。敵からの褒め言葉に褒められて感じを期待する俺のほうがいけない。
「あいつらはな、前は同志だったんだよ。」若武は低い声で言う。
「いつも悩み事とか解決してくれた美門は、アーヤにとってはヒーローだったんだよ、きっと。」黒木が悲しそうな目で俺を見た。
「だから、美門と立花は付き合い始めたんだ。」小塚も俯きながらボソッと言う。
「俺らは、止めたぜ。誰かが付き合い始めたら、俺らのバランスが崩れる。あいつらは、その責任を持てるかどうか、俺は心配した。」
上杉が壁に寄り掛かり、腕を組みながらしゃべり始めた。
「今まで俺たちは数々のバランス崩しの危機を乗り越えてきたよ。それで、そのバランス感を一番保っていたのは、立花なんだよ。あいつが付き合い始めたら、バランスを崩したのはあいつだ。俺らはバランスをまた元に戻すように努力をするが、メインは立花だ。自分の力で元に戻さないと、俺らはもう、チームとしてやってけないんだよ。元のバランスは絶対に戻ってこない。」
上杉は目を閉じて、横を向く。
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ゆう - 今度は、上彩か、小彩が見たいです (2018年9月1日 12時) (レス) id: da04278cc9 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - と〜ても面白かったです♪KZ大好きです! (2017年9月8日 16時) (レス) id: b396f5318f (このIDを非表示/違反報告)
栞菜 - Gで、上杉君アーヤの事を名前呼びしていた気が・・・。あと、小説面白かったです! (2017年7月22日 18時) (レス) id: 7d102e222b (このIDを非表示/違反報告)
白梅(プロフ) - あぐりさん» それは確かにそうですが、はっきりとした恋心が芽生えた上杉くんなら呼び名くらいは変わると思います。あとは大した最新をしなにのにわざわざ見に来てくださる方に申し訳なく思います。わざわざ注意して頂き、ありがとうございます (2016年11月20日 22時) (レス) id: 69a9555859 (このIDを非表示/違反報告)
あぐり - 上杉は、アーヤのことを立花と名字で呼んでいますよ。直されたほうがよいかと (2016年11月20日 13時) (レス) id: d7a9f1ad50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白梅 | 作成日時:2016年1月4日 5時