心の睨めっこ(3)

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日本に帰ってきて1週間。


正直、一瞬どうでも良くなった。

髪の毛を銀色に染めてみた。




でもやっぱり、4年分の想いはそう簡単に諦められるものなんかじゃない。








誠「ウッチー。久しぶりに、焼肉でもどうだ？」

祐「俺も行きたいっす！」

『別にいいけど。』








でもって、少なからずこの2人が居るから、俺の気持ちは持ち直したのかもしれない。


アキレス腱断裂の大津。

膝の再手術をした長谷部さん。



他の競技の仲間も居る。









祐「順調っすよね？」

誠「まぁな。」

祐「お二人は、W杯もあるから大変だ。」

『間に合うとは限らねぇけどな。』

祐「そんな事言って、間に合わせちゃうんでしょ？またウッチーファンが増える。」









正直、間に合うかわからない。


何処までいけるかわからないけど、いけるとこまでいってみようと思う。








誠「Aちゃんの引っ越しの事、あれから何か聞いた？」

『いや、何も。』









大津がトイレにたったとき、長谷部さんが不意に聞いてきた。


大津の前で山田の話をすると、めんどくさい事になるってことは、長谷部さんもわかってるんだろう。









誠「Aちゃん、あれから落ち着いたよな。」

『あいつも、前に進んでるって事っしょ。』

誠「時々、思うんだ。このまま伝えなくて本当にいいのかって。」

『……そんなの、誰も何が正しいかなんて、わかんないっしょ。あいつが今元気に、新しい何かを踏み出そうとしてるんだし、それを黙って見守ってやるのが一番なんじゃない？』

誠「かもな。」









長谷部さんってさ、やっぱ整ってるよね。


山田の事を一番に考えてるってゆうか、なんてゆうか。









誠「で、ウッチーは自覚したのか？」

『何が？』

誠「まだ無自覚か。」

『だから、何が？』

誠「なんでもない。」









下を向いて、何か面白そうに笑う長谷部さん。



何の話？
何が自覚？

意味わかんないんですけどー。







.








部屋に帰ってきて、なんとなく山田に電話してみたけど、繋がらない。


ってか、電源切ってるか電波ないとこにいるって何？

大丈夫なのか？

充電し忘れ？





ポケットの中に入れて持って帰ってきた、あいつからもらった勝守りを見て思うのは、








『勝ちてぇなぁ…。』








ただ、それだけ。


何に対しても、やっぱり負けるのは、面白くない。

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