心の睨めっこ(3)

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「え？帰ってきてるの？」

≪うん。さっき着いたよ。≫







久しぶりにマコちゃんから電話がかかってきたと思えば、ドイツに戻ってきたよの連絡。


てっきり、日本からそのままキャンプ地に入ると思ってた。







≪Aちゃんは、今日はお休み？≫

「うん。マコちゃん何してる？」

≪今から家に戻って、日本に持って行ってた分の荷解きをして、キャンプの準備かな。≫

「そっかー。準備とかばかりで、大変だね。」

≪もう慣れたよ。Aちゃんは、何かする予定なの？≫

「うん。家見にいくよ。」

≪え？家？…あ、引っ越すことにしたの？≫

「いいとこが見つかればね〜。」








マスターに言えば寂しくなるから行くなって言われたけど、でも新しい事に挑戦する事は大事だからって、最後は賛成してくれた。


真剣にパソコンで物件探しをしたけれど、魅力的な街が結構多い。

何日かに分けて色々見に行くつもりの、今日は1回目。









≪どの辺にするか、決めたの？≫

「ううん。とりあえず今日は、HeidelbergとDarmstadt のとこにある家を見に行こうかなって。」

≪Hessenの方だね。Münchenの方は来ない？≫

「マコちゃんが今日帰ってくるって教えてくれたら、見に行ったのに。」

≪ははは、ごめんごめん。気をつけてね？≫

「うん。また連絡するね？」

≪わかった。≫









家がそこそこ可愛くて、近くにスーパーがあって、マスターのとこのようなカフェが近くにある。


これ、譲れない条件。




日本に行く費用とは別に貯金してあるのを崩せば、多少家賃が高くてもどうにかなる。

あと、近所は静かな方が良いな。









≪あ！Aちゃん！≫

「ん？なにー？」








通話終了をタップしようとした時、マコちゃんの声が聞こえてきて、耳元に携帯を戻す。









≪……いや、何でもない。良い所、見つかるといいね。≫

「うん。また写真送るね？」

≪待ってるね。≫








マコちゃん、何か言おうとしたよね？

何だったんだろう……。



でもまぁ、今言わないって事は、別に大した事でもないし、急ぎの用事でも無いって事だよね。

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