心の睨めっこ(3)

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たまたま皆んな仕事で東京に居て、たまたま終わる時間が前後近くて、食事に行こうとなった。



日本に帰ってきても4人で食事に行くって、どんなけ〜。

嫌じゃないけどね。

あっちに居る時は、それが楽しみでもあるし、良い息抜きになってるんだけどね。




冬だし鍋を食べようってなって、長谷部さんが何度か利用した事のあるお店に集合。

見た目も品があるお店で、ウッチーの格好は大丈夫かと心配したけど、撮影もあったらしく髪の毛は落ち着いていた。







永「冬はやっぱり鍋だな。」

誠「おでんも良いよな。」

麻「どっちもいいっすね。俺、コンビニのおでんとか好きっすよ。」

永「わかる。あれ、意外と上手いんだよな。」








俺らの会話に参加しないで黙々と箸を進めてるウッチーは、若干不機嫌。


どうやら、今日の仕事で担当だったスタイリストさんが結構しつこい人だったらしく、それでご機嫌斜めらしい。








誠「そういえばさ。奈央さんに会ったんだよね。」

永「奈央さんって…、あの奈央さん？」

麻「マジっすか！？」








あの日、ウッチーが奈央さんの所から帰ってきてから、その後どうなったのか聞いていない。

たぶん、ウッチーもAちゃんも、あのお店には行ってない。


何となくだけど会話に出したらダメかな？と思って、気になる部分はあったけれど、言葉にしてなかった。



黙って箸を進めてたウッチーも、奈央さんの話題となれば違うらしく、箸が止まった。








永「何処で会ったんだ？」

誠「街で偶然。驚いたよ。」

麻「日本に帰って来られてたんすね。」

誠「あぁ。実家が東京らしく、ドイツと同じようにお店をやってるって。」








色々を抜けば、奈央さんの料理って普通に美味しかったしね。


日本食も勿論だけど、ちょっとしたドイツ料理だって奈央さん出来たし、口コミで広がりそうだし。








誠「Aちゃんの事、心配してた。」

永「そっか。」

誠「でさ、皆んなの意見聞きたいんだけど。」

麻「何すか？」

誠「Aちゃん、引っ越そうと思ってるらしくてさ。良い機会だから、とりあえずホームステイな感じで、日本に来たらどうかなって。」

永「それって、奈央さんのとこに住むって事か？」

誠「今は実家だって言ってたから、お爺ちゃんの家になるな。」

『は？』








ずっと何も言わなかったウッチー。

さっきよりもずっと深く眉間にシワが寄っていて、不機嫌さが増したように見えた。

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