心の睨めっこ(3)

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誠「よっ。」

『ちっす。』







ラウンジで搭乗待ちをしていると、長谷部さんが来た。

今回も同じ便か。








誠「Aちゃん、あれからどう？」

『…別に普通だけど。』

誠「そっか。」

『……何で俺に聞くの？あいつに直接聞けばいいじゃん。』

誠「俺には話せない事も、ウッチーには話せるだろ？」








あれから山田は、本当に普通。


夜電話がかかってくる時もあるけど、両親の話は一切してこない。

それが心配な部分もあるんだけど、俺から言うことであいつの傷を深めるのならと思い、あいつの話す内容に合わせているだけ。



それにあいつ、長谷部さんとも普通に連絡取ってるって言ってた。

長谷部さんは、何で俺に聞くんだ？









誠「奈央さんは、もう日本なのか？」

『さぁ？知らね。』

誠「あのブログ、更新されなくなったな。」

『そうなんだ。俺見てないから、知んない。』

誠「Aちゃんに、日本の料理本買ってきて欲しいって頼まれたよ。奈央さんが更新しなくなったからだろうな。」









へー。

ちゃっかり長谷部さんにお土産頼んでんだ。




俺も買ってきてやるけど？て言ったのに。









誠「Aちゃん、引っ越そうと思ってるらしい。」

『ふーん。どこに？』

誠「まだ決めてないって。思うだけで、色々とめんどくさいから辞めるかもって言ってた。」

『へー。』









俺そんな話、一言も聞いてないんですけど。



今日店に来たおじさんがどうだったとか、
近所に野良猫ファミリーが誕生してたとか、

割とどうでもいい話ばっかで、そういう肝心な話は何も聞いてないんですけど。






しかも、




[カラスも今日帰国？]



名前呼びに昇格されたのかと思いきや、カラス呼びのままだしね。








『……はぁ。』

誠「どした？」

『…静かなOFFになるといいなって。』

誠「ははは。そういえば、そんなパーカー持ってた？まともだな。」

『…最近買った。』

誠「ウッチーにしては、珍しく良い買い物だな。」








煩いよ。

長谷部さんだって、ファッションセンスは紙一重だと思うけどね。


あの突っ込んでいいのかわからない文字Tシャツとかね。





なんかムカつくから、言わないけどね。


俺が今着てるパーカー、山田サンタからのプレゼントだって。

絶対教えてやんない。

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