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5th track(side:Mr.Hc) ページ14

「彼は一体何をしているんだ?」
「それがわかればとっととあいつの所に行ってる」

物陰に隠れてコソコソとするのは性にあわないが、理鶯が待てとしつこいのでそのままでいる。理由は「勘」だそうだ。

「俺たち以外の誰かを待っているように見えるが……」
「そのような連絡は来ていないな」
「チッ……何なんだ……」

隠し事は無しだ、ということは言っていないが、どうもむしゃくしゃする。しかもやけに楽しそうだ。面白くねぇ。

「あーもうウゼェ。おいじゅ──」
「待て!!」

ぐ、と腕を引かれて元の位置。んだよ、と声を荒げようとすると、シッ、と理鶯が制止した。

「……誰だ、あの女」

理鶯の目線の先に、見知らぬ女。やけに白い。というか全て白い。髪も、肌も。服は──制服?

「貴殿の身内か?」
「テメェ髪色だけで判断しただろ、違ぇよ」

遠目から見たらそう見えるかもしれないが、俺の妹とは全く違う。制服もここらのものだろうが、妹は着ていないし、大体ここには居ない筈だ。

女はくるくると周りを見渡し、銃兎を捉えた。その途端、驚くほど明るい笑みを零し、銃兎へと駆けていく。銃兎もそれに気づいたのか、普段見ない優しく、そして喜びに満ちた笑顔を女に向けた。

「んだあれ……」
「見た事がないような表情だな」

理鶯も微かだが驚いているらしい。会話はきこえないが、さぞ楽しい話をしているのだろう。脅しをかける際の意地の悪い顔は勿論、俺たちに向ける微かな笑みとも違っている。慈愛に満ちた、まるでそう──愛しい者に向けるような顔だった。

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ゆゆ - あと銃兎さんと独歩さん推しなのが一緒で嬉しかったです! (2019年5月26日 14時) (レス) id: b6b1790fec (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 初コメ失礼します!銃兎さん登場回数多めですね笑銃兎さん最推しなのでめっちゃ嬉しいです!お話も読みやすかったです!また来ますね! (2019年5月26日 14時) (レス) id: b6b1790fec (このIDを非表示/違反報告)
エレン(プロフ) - 名無しさん» 申し訳ありません。修正箇所を見落としているのですが、もしよろしければ場所を教えて頂けないでしょうか (2018年5月23日 19時) (レス) id: a16f57eab6 (このIDを非表示/違反報告)
エレン(プロフ) - 夢花 ゆめいろ星(スター)の夢花さん» ありがとうございます!楽しんでいただけたら嬉しいです!いってらっしゃいませ〜! (2018年5月23日 19時) (レス) id: a16f57eab6 (このIDを非表示/違反報告)
エレン(プロフ) - 名無しさん» あららら、ご指摘ありがとうございます! (2018年5月23日 19時) (レス) id: a16f57eab6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エレン | 作成日時:2018年2月9日 7時

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