11th track ページ20
「帝統──!! どこにいたのさー!」
甲高い声。女の人のようだが、そうではない。
「おお、乱数」
「おお、じゃないよー!またどこかで倒れてるのかって思ってたんだよー」
どうやら迎えが来たらしい。
私も立ち上がり、スカートを叩く。
「実際倒れてたけどな。この嬢ちゃんが助けてくれた」
「ええーっ!まぁた餌付けされた?」
「餌付けってな……」
「事実じゃん?へへ、オネーさん、ありがとねっ」
器用にぱちんとウインクを飛ばす少年……いや青年?不思議な雰囲気を醸し出す、明るくもどこか仄暗さを感じさせる──飴村乱数。
彼は1つ飴玉を取り出し、私に手渡した。
「これ、お礼。帝統は何も持ってないし、」
「なっ──」
「それに、オネーさんは何だか面白そうな人だからね」
その髪も、瞳も。彼は付け足す。彼の瞳から薄く光が消えたのは気のせいだろうか。
「ありがとうございます。私はただ、お菓子を1つ差し上げただけなんですがね」
「そう!この嬢ちゃんのカップケーキすっげぇ美味いの!もっと食いたいくらいには!」
「へーえ!僕も気になるなぁ!」
「良ければ、また焼いてきますよ?」
「マジで!?」
「わあ、やったぁ!」
こうしていると、2人とも実年齢より幼く見える。
チームとは、どのように過ごしているのだろう。もう1人のメンバーの方と、どのように話しているのだろう。
「あーでもでも、僕達もう行かなきゃね」
「え?そうだったか?」
「打ち合わせするって言ったでしょー?だから迎えに来たのにー」
「わ、悪ぃ」
ならば、私もここらで失礼することにしよう。最後に、乱数さんは私に名刺を差し出した。デザイナーらしい。
2人と別れ、私は銃兎さんの元へと向かう。カップケーキは無くなったが、また新たに友人ができた。それも2人。一石二鳥ならぬ一菓子二友人?なんて。
上機嫌に公園を後にしながら、ふと背後から2人の会話が耳に入った。
「ディビジョン対決のとき、票って集まるかな」
「その時のフィーリングだけじゃ、やっぱり難しいかもな。……全体で宣伝活動とかできりゃいいんだが、それもどうすればいいかわかんねぇしな……」
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ゆゆ - あと銃兎さんと独歩さん推しなのが一緒で嬉しかったです! (2019年5月26日 14時) (レス) id: b6b1790fec (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 初コメ失礼します!銃兎さん登場回数多めですね笑銃兎さん最推しなのでめっちゃ嬉しいです!お話も読みやすかったです!また来ますね! (2019年5月26日 14時) (レス) id: b6b1790fec (このIDを非表示/違反報告)
エレン(プロフ) - 名無しさん» 申し訳ありません。修正箇所を見落としているのですが、もしよろしければ場所を教えて頂けないでしょうか (2018年5月23日 19時) (レス) id: a16f57eab6 (このIDを非表示/違反報告)
エレン(プロフ) - 夢花 ゆめいろ星(スター)の夢花さん» ありがとうございます!楽しんでいただけたら嬉しいです!いってらっしゃいませ〜! (2018年5月23日 19時) (レス) id: a16f57eab6 (このIDを非表示/違反報告)
エレン(プロフ) - 名無しさん» あららら、ご指摘ありがとうございます! (2018年5月23日 19時) (レス) id: a16f57eab6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エレン | 作成日時:2018年2月9日 7時