愛されたい。【青】 (ページ3)

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目｢...A、どうした？｣

心配そうにこちらを見る蓮と目が合う。
お弁当を頬張りながらこちらを見る蓮は子どもみたいでかわいい。

今は昼休み。
私たちは屋上で食べるのが日課だ。

｢...ああ。ちょっと思い出してた。｣
｢蓮と付き合った頃のこと｣

蓮は一瞬動きが止まったが、またすぐにお弁当に視線を戻した。

目｢...あー、あん時ね、懐かしいな｣

目｢俺さ、Aに代わりでいいからなんて言ったけど、実は...｣

ｶﾞﾁｬ

蓮の言葉を遮るように屋上の扉が開いた。

『まじ最悪！俺の焼きそばパン...』

『コロッケパン買えたんだから我慢しろって』

そんなやり取りをしながら屋上に入ってきたのは翔太とふっか。

ふっかっていうのは深澤辰哉のこと。
翔太と同じクラスで彼も同じ中学だ。

深｢あ、A。これで合ってるよね？｣

そういって紙パックのいちごオレを投げる。
お願いしたわけじゃないのに買ってきてくれる。
こういう所が｢リアコ｣なんて言われてモテる理由なのだろう。

これだけ人気のある蓮とふっかが周りにいてもときめかないのは

渡｢えー、いいなぁ。A、ひとくちだけ。｣

...彼がいるからだ。
当たり前のように私の隣に座る翔太は私の緊張になんて気づきもしない。

｢だめ、ふっかに貰ったの。｣

渡｢えー、...けち。｣

わざとらしく口をとがらせる翔太はまるで小さい子供。｢バブい｣なんて揶揄われる彼もまた女子に人気がある。

｢蓮、続きいいよ。実はなに？｣

目｢...あー、大丈夫。くだらないこと。｣

そう言いながら立ち上がって私を後ろから抱きしめる。

目｢翔太くんだめ、Aは俺のだから。｣

こんなこと言われたら普通の女子なら一瞬で好きになるんだろうな。

深｢はー、目黒言うねえ笑｣

｢ふっかうるさい。｣

深｢えぇ...｣

...翔太はなんて言ってくれるかな。
少しの期待に胸が高鳴る。

渡｢だぁ！もう知ってるわ！｣
｢はいはい、悪かったな～別に取ったりしねえよ｣

見せつけんな、なんて笑いながらふっかの方に行ってしまった翔太を目で追う。

あぁ、やっぱり私たちは友達だ。
それ以上でも以下でもない。

全身の緊張がとけていくのを感じた。

そんな私を見ている蓮の寂しそうな顔には気づくことは出来なかった。