[Elext City] Ⅱ (ページ27)

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ラウール「――っ！」
急いでログアウトをして、そのまま跳ね起きた。
向井のシンプルな部屋では、まだ向井が目を瞑って安静な姿勢を取っている。
何とか、バグに侵食される事はなくなったみたいだ。

ラウール(…？)
明日、バグを直さないと。なんて思いながらふと視線を上に上げると、向井の卓上にある写真立てが目に入った。
気になって近付いて、その写真立てを見て見ると、阿部も松村もいる。
どうやらかつての集合写真の様だった。

ラウール「え…」
そこに映る人数に、ラウールは驚きの声をあげた。
前見かけたJuriのモチーフになったのであろう松村の同期に加え、[Elext City]にいるHikaとFukaに酷似した人物がいる、それはいい。それは自分の予測通りだ。
でも、それに加えて、まだ人がいる。

ラウール「…これは、誰…？」
見慣れない人物が2人、1人は阿部と肩を組んでいる小柄な男性。
もう1人は、その小柄な男性の後ろに立つ白い肌をした綺麗な男性。
もしや、さっき向井が言いかけていた事というのは、この2人の事だったのではないだろうか。

向井「ラウ！」
ラウール「向井さん！」
向井「大丈夫！？無事！？」
ラウール「あ、はい…あの、これ、」
向井「あぁ、うん…昔撮った集合写真」

写真立てを見ると、向井はどこか切なげな表情を浮かべる。
ラウールが「じゃあ、全部で8人いたって事ですか…？」と問うと、向井は不思議そうな顔をして「知ってたんやなかったん？」と問う。

ラウール「僕は、松村さんとJuriさんのモチーフになったんであろう御方が2人で映ってるのを見たんです。だから…」
向井「…そう。まぁ、今更隠す事でもないし、えっか」
ラウール「え？」
写真立てを取ると、向井は色白な青年を指さして言った。
向井「これが俺のおらんくなった同期の、京本大我。きょも、って呼んでてん」