[Elext City] Ⅱ (ページ28)

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ラウール「京本、さん…」
向井「あの空間の、どこにもおらんねん。他のみんなはちゃんと模して造られてるのに、きょもと、このもう1人…佐久間さんって言うんやけどな、きょもと佐久間さんは、どこにもおらへん」
ラウール「それって、」
向井「わからへん。北斗に聞いても教えてくれへんかった。…すっごい、悲しそうな顔してたから、それ以上聞かれへんくって」

やから、知りたいねん。きょもと佐久間さんに何があったんか。
向井はどことなく懐かしむような、少し寂しそうな表情を浮かべてそう言う。
そういえば、向井はさっき「俺も知りたい」と言っていた。
あぁ、同期の行方を探る為だったのか。

向井は後のメンバーの事についても触れていく。
阿部の同期がHikaの元になった――岩本照という人物で、
Fukaの元になった深澤辰哉という青年は、この佐久間と同期だったらしい。
それで、8人。それが最初[Elext City]を作る時のメンバー。

向井「楽しかったなぁ、あん時。俺も結構アイデア出したんよ？」
ふざけたアイデア出しては阿部と岩本に怒られたのだ、とか。
花火大会を一緒にした時は、深澤が噴き出し花火をぶん回して岩本に怒られていたとか。

ラウール「…向井さん、その話、もっと聞いてもいいですか」
向井「へ？」
ラウール「僕も、知りたいです。昔皆さんがどんな思いでこの[Elext City]を作ったのか、とか、そういうの、全部！」
向井「…うん、任せて！俺記憶力ええからな！」

向井の顔が一瞬にして明るくなる。
もしかしたら、前の社員の人の想いも手掛かりになるかもしれない。
その一心で、ラウールは向井の話に耳を傾けた。