[Elext City] Ⅱ (ページ16)

今日:7 hit、昨日:16 hit、合計:99,340 hit

program:10 ページ16

▷Route[■■■■■■■■]→■■

＊

願いと共にお願いしたプレイヤーへの報告フォームには、沢山のバグの発見報告が届いていた。
ラウールはその報告を元に、1度DIVEして調査しようと阿部の目をかいくぐってDIVE専用の部屋からDIVEしようともうすっかり慣れた手つきでDIVEの準備をしていた。
定時の時間を過ぎて、阿部も今日は久々に定時退社していたはずだ。

向井「ラウ」
ラウール「！」
不意に聞こえて来た自分を呼ぶ声に思わず肩が跳ねる。
バッと後ろを向くと、入り口のところに向井が立っていた。

ラウール「向井さん」
向井「…バグの調査、するん？」
ラウール「はい…えっと、」
向井「阿部さんに、バレたらまずいんやろ」
手招きされ、向井は「もっと安全なところでやろ」とラウールに鞄を持たせると、会社を出る。

ラウール「あの、」
向井「大丈夫。俺は、…俺も、知りたいねん」
ラウール「え」
向井「あの時の事、俺やってちゃんと知りたい。聞いただけの話やなくて、自分の目で確かめて」
ラウール「…」
向井「やから、俺はラウの味方やよ」

帰り道とは違う電車に乗って、向井の後を着いていく。
電車賃までも支払ってくれた向井に案内されるがまま道を歩いていると、マンションに辿り着いた。
ラウール「ここって…」
向井「俺の家。兄ちゃんがDIVE機買って、そのままにしてるから2つあんねん」
隠れてやるには好都合やろ？と笑う向井は、いつものような笑顔で「さぁさ、どうぞあがってあがって！」とラウールを部屋にあげる。

思った以上にシンプルな部屋で、ラウールと向井はDIVEのパッドを着用するとバーチャル空間にDIVEする。
はやる心を抑えて、安静状態になるように心を鎮めながら、ラウールは目を閉じた。