[Elext City] Ⅱ (ページ10)

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向井「俺はシステム開発部の人間やないから、何が起こった、っていうのはようわからへん。でもな、そのトラブルの所為で、1回バーチャル空間が崩れてもうたんやって」
ラウール「え、崩れ…？じゃあ戻れなくなった、って、」
向井「戻られへんくなって、そのまま消滅に巻き込まれてもうたんよ」

ニュースになったんよ、でもまだ小さい会社やったから、暫くしたらそんな事件があったのも忘れ去られてもうて。
そう言った後、向井は少しバツが悪そうな顔をして、「ごめんな」と零す。

向井「俺、この前ラウにちょっとだけ嘘ついた」
ラウール「え？」
向井「北斗の同期の話。…濁したやろ、今おらへん理由」
ラウール「…まさか、」
向井「うん。…北斗の同期も、巻き込まれた。その子だけやない、俺の同期も、阿部さんの同期も巻き込まれた」
ラウール「…だから、元々2人ずつだったのが今1人だけ…？」
向井は小さく頷く。また零した「ごめん」という言葉よりも、自分に募る罪悪感の方が強かった。

向井「でも、俺も最近の阿部さんは見てて怖いな」
ラウール「え？」
向井「気持ちはわかるねん。…阿部さんは、事件が起きてから意志を引き継ぐようにってプロジェクトリーダーになって、そっからずっと[Elext City]を…や、DIVE機能を成功させる為に、って、ちょっと怖くなった」

ラウール「…でも、普段は優しい人じゃ」
向井「ラウールが入ってきてからやで。ちょっと昔みたいな雰囲気になってくれたんは」
ラウール「…」
向井「ずっと、北斗とも意見の食い違いがあったみたいやしな」
ラウール「食い違い？」