[Elext City] Ⅱ (ページ11)

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向井「別に俺も詳しく聞いた訳やないからどう食い違いしてたかは知らんねんけどな」
ラウール「そんなの、全然わかんなかったです…」
向井「俺はラウのおかげやと思ってるで」
ラウール「え？」

向井「ラウが来てから、阿部さんはちょっと前みたいに柔らかくなってくれたし、阿部さんと北斗がギクシャクしてるのも若干薄れた気がするし、やから俺ラウに感謝してるんよ」
ラウール「そんな、僕は寧ろ足引っ張ってばっかりで…」
向井「もう、こういうのは素直に受け止めたらええんやで！」

ラウール「…僕は、何か力になれているでしょうか」
向井「なれてるよ！俺が言うんやから安心して！このゴタゴタが落ち着いたら、飲み行こうや、阿部さんと北斗も誘って！」
ラウール「はい！」
向井「あぁ、つい長話してもうたな。怒られたら俺の所為にして。向井さんに捕まって～って」

冷めたコーヒーを飲み干して、そのまま応接室を出て資料を受け取る。
ラウール「まずは、人型のバグをどうにかして消去しないとですね…」
向井「…人型のバグ、なぁ…」
報告の半分以上を占めるそれに、向井がふと呟く。

向井「ほんまに、消去してええんかな」
ラウール「え？」
向井「あ、いや…え、っと…俺は、ほらあんまシステム開発の事は知らんから、その…変な事言ってたらごめんなんやけど……そう、もしかしたら、それもアバターさんやったりするんちゃうかな、って、思っただけ！ごめんな！」
ほら早よ行き、と半ば強引に返されたラウールは確かにその可能性もあるなぁと思慮する。

ラウール(…調べてみても、いいのかな)
1度気になったらとことん調べたくなってしまう。
もしかしたらそれが力になるかもしれない、とラウールは大量の資料を抱えシステム開発部へと戻った。
ラウール(…あれ？)
空席になっていた松村のデスクに、不自然に「伏せられた」写真立てが置いてあるのに気付いたのは果たして何の因果だったのだろうか。