[Elext City] (ページ5)

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阿部｢…さて、こんな感じかな。ざっくりとした説明は｣
ラウール｢ありがとうございました！｣
その後色々教えてもらい、[Elext City]から現実へと戻ってきたラウールが時計を見ると、もう12時を指していた。

阿部｢おっ、丁度お昼の時間だ。ラウール、よかったら一緒に食べに行こうよ｣
ラウール｢はい！ぜひ！｣
食堂へと向かう中、気さくな阿部と共に廊下を歩いていると、｢あ～べ～さ～ん！！｣と元気ハツラツな声と共に隣にいた阿部の姿が吹っ飛んだ。

阿部｢いって…康二！｣
向井｢おっ！噂の新人くんやな～！？ずるいっすよ阿部さん！俺に紹介せんと新人くんと2人っきりでご飯やなんて…｣
関西弁を話す彼に引き摺られている松村の姿も見える。半分可哀想だ。

向井｢新人く～ん！よろしく！俺広報部の向井康二！Twitterの運営とかは俺がやってるで！｣
阿部｢ごめんねラウール、うるさいでしょ｣
向井｢ラウールくんって言うんや！よろしく！今からご飯やろ？俺らもいーれて！｣

阿部｢…北斗、大丈夫？｣
松村｢……大丈夫かそうじゃないかって聞かれたら、大丈夫ではないです｣
何だか怖そうな印象だった松村が少しだけ不憫で可愛く見えてしまったのは自分だけの話だ。

＊

向井｢へぇ！ほんならずっとTwitterは見てくれてたんや！｣
ラウール｢はい！まさか中の人とこうやってお話出来るなんて思ってませんでした！｣
向井｢ええ～！もう！嬉しい事言うてくれるやん！｣
キャッキャとはしゃぐ向井とラウールを横目に黙って定食を食べる松村は、どうも居心地が悪そうだ。

阿部｢…北斗、ほら、ちゃんと新人と絡まないと｣
松村｢…わかってますけど｣
阿部｢もう北斗も先輩なんだからね。少しは康二を見習って｣
松村｢……それでも向井さんのコミュニケーションの速さは異常だと思います｣
向井｢誰が異常なん！北斗のあほ！あほあほ！｣

楽しそうな雰囲気が流れ、出社初日からいいスタートを切れそうだ。
これから毎日こうやって楽しく仕事出来るのかと思うと、やっぱり就職活動を頑張ってよかったと思う。
ニコニコしながら、ラウールはその日の日替わり定食であったカレーを1口また口に入れたのだ。