[Elext City] (ページ34)

今日:7 hit、昨日:25 hit、合計:157,334 hit

＊ページ34

rau♡《貴方が…人型のバグ、さん…？》
《…蜷帙?縲∬ｪｰ?》
読み取れない言葉に当惑する。
間違いない、これが確実に、ここ最近の原因である「人型のバグ」だ。

腰に下げていた、阿部から貰ったバグの処理用のプログラムが詰められた銃を向ける。
それを見ても、意に介す事なく、その人型はまた何かを呟いた。
《譁ｰ縺励＞蟄撰ｼ》
いくらバグとはいえ、人の形をしたそれに、銃弾を撃ち込むというのは少し怖い。
ラウール(…でも、阿部さんと松村さんの力になりたいんだ…！)

引かれた引き金は、まっすぐ銃弾を撃ちだした。
《縺ゅ∋縺｡繧?ｓ縲∝､峨ｏ縺｣縺ｦ縺ｪ縺?ｓ縺?縺ｭ》
それを見た人型は、ふわり、とまるで溶けるかのように消える。
《縺斐ａ繧薙?縲∵眠莠ｺ縺上ｓ》

rau♡《…え》
銃弾が当たるより前に、溶けるように消えた人型を見て逃がしたのだ、という事は理解した。
ずっと吐かれていた言葉は何を示していたのかはわからないが、それよりもラウールは消える間際に見た、ほんの少し悲しそうな顔が忘れられなかった。

rau♡《…何、今の》
その言葉にかけられた二重の意味に、気付く人はいたのだろうか。
1つは溶けるように消えた事について。
もう1つは、ほんのり郷愁を漂わせるような、悲しそうな顔。
チャットを通して聞こえた阿部の「逃がしちゃったみたいだね」という声で我に返る。
反射的に謝った言葉は、「大丈夫」という言葉で全て有耶無耶にされてしまった。

…そう、だから、ラウールは知らないのだ。
阿部が目の前の現象に驚くラウールを余所に、どこかわかりきっていたような表情で舌打ちを零していたのを。
そして、それを何も言わずに一瞥して、阿部に向かって苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべて画面に向き直る松村の姿も。
彼はまだ何も、知る由もない。