[Elext City] (ページ33)

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ラウールは、[Elext City]内にDIVEしていた。
Twitterで呼びかけてから来たメッセージの中で、1番よく目にしていたもの――人型のバグなるものを捜索し、排除する為に動いていた。
阿部から渡されたバグの処理用のプログラム…銃の形をしたそれをアバターの腰に携えながら、ラウールは「郊外が多め」という情報を頼りにバーチャル空間を歩く。

rau♡《パット見は普通のアバター、背が低めで、髪色は明るめ、性別などはわからない…》
頂いた情報を元に、あからさまにおかしい動きをしているアバターがいないか目を凝らす。
正直バグ、というと何かゲームシステム内に異常が出るイメージがあった為、「人型のバグ」というもののイメージがあまり着いていないのだが。
だからと言ってこのまま放置、という訳にもいかない。

阿部はここ数日かなり苛立っている様子だったし、松村もNPCに被害がいかないか心配なのか元々あまり喋らなかったのが更に拍車をかけてだんまりになっていた。
自分はまだまだ未熟だが、それでも良くしてくれる先輩2人の役には立ちたいのだ。

rau♡《…あれ？》
視界の端に映った、路地裏に消えていった人影に違和感を覚える。
善は急げ、ラウールは後を追うように路地裏へと進むと、その人影がこちらを振り向いた。
rau♡《！？》
その人影に思わず声にならない悲鳴をあげそうになる。

モザイク、という言葉が近いような不明瞭な部分が多くみられるそのアバターは、こちらを訝し気に見ていた。
くすんだベージュのような髪色、低めの背、ストロベリーのような色の瞳。
まるで侵食されているような――あぁ、これが人型のバグ、か。と理解するのにそう時間はかからなかった。