いーとみー外伝 (ページ36)

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８-① ページ36

繭華様が
中学生になりました。

聞けば中学校から学校に編入してくる子なども居るそうで
彼女の口からは「あのねあのね！」と色々な話が飛び出す。

初めてやってる部活の話。
勉強が難しいけど、みんなで教え合ってる話。
友達とした週末の約束の話。などなど。

それを話す顔はほんまに楽しそうで嬉しそうで、キラキラしてて。

そして俺は

「それはよかったですねぇ」
「えへへ、ありがと」
「いえいえ、お嬢様の幸せが僕の幸せです」

「…安田、最近何かにこやかになった？」

そんなことを言われるように。

「…え、そうですかね？」
「うん…何となくだけど」

まじかー、と、その時は顔を軽く摩った。

「自覚なかったです」

そう苦笑いした俺に彼女はそわそわとしてから

「…そ、その…彼女とか、出来ちゃったりとか…？」

と、上目遣いで窺うように聞いてくる。
わーもう…あかん、あかんて。
これは早く退散した方がええ。

「あははははっ‪w
ちゃいます！これはほんっまに、何もないですから！
強いて言えば、この仕事が楽しくなってきたから、ですかね〜」

と、無難に返す。

「ほんと？」とぱっと瞳を見開く彼女。
比較的長い睫毛が少し揺れる。

「ほんまです！」
「よかったぁ…」

彼女の表情がふわっと柔らかく崩れた。
うぅ…もうあかん。何してもやばいって。

「じゃあ、ちょっと僕部屋に戻ってきますから
そろそろ習い事の先生来ると思いますし」
「わかった」

ニコッと笑った彼女に見送られて部屋を出て
ドアを閉めてすぐふぅ…と溜息を吐いた。

にこやかになった？
いや

心の中は真逆である。