いーとみー外伝 (ページ34)

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７-④ ページ34

まあそれはええとしよう。

「はい、何本でも自由に取ってええですよ」

俺はポテトの入った入れ物を繭華様に差し出す。

「えっ、でも…安田が買ったんじゃないの？これ」

申し訳なさそうな顔をする繭華様。
あぁ、可愛ええなぁ。

「なぁ、ほら、見てあれ」

そんな彼女に、俺はちょっと離れた場所にいる女子高生のテーブルを指さした。

とある子がポテトを買ったらしく、それをみんな各々のタイミングで手に取って食べている。

「分かる？ああやってな、ひとつのもんをシェアしたりすんのも、それもファーストフードの醍醐味やねん

せっかく二人で来たんやから、俺も繭華様とやりたいなぁ思たんですけど、どぉ？」

そう言うと、小さく頷いて、そっとポテトを一本取って口に運んだ。
スローモーションみたいやった。

「…！
美味しい！安田！これすっごく美味しい！」
「でしょお？あんな感じで好きなタイミングで取ってええですからね」
「ありがとう！…別にポテト欲しいとか言ってなかったのに」
「文句言う悪い子の分は下げてまうで〜」
「やっ、やだ！食べる！」

やだ、って言う八の字眉が可愛いなって思う。
ポテトをお互い手に取って、笑い合って駄弁り合いながら過ごした。

もし、俺と彼女が、執事とお嬢様やなかったら
いつもこうして過ごしてたんかな。

でもきっと、この関係やなかったら
俺らが出逢うことはなかった。