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状況を理解するのに時間がかかった。
荷物の詰められたダンボール。
いつの間にか纏められてる俺の荷物。
とりあえず鞄を置いて、固い顔をしてる章 大に向き直った。
「…どういうこと」
責めるつもりやなかったのに、動揺がもろに出て声が低くなる。
章 大は怯んだのか顔を背けた。
「引っ越そうと思って」
「何で急に、しかも何も言わんと」
「ほら、この部屋狭いし?w」
ふざけんといてよ。
そんなん普通同居人には言うのが筋ってもんやん。
お前それも分からんほどアホとちゃうやろ。
それに…声震えてるし。
今度は何を隠してんの?
言おうとして、でもどうせ「別に」「何でもない」って、それしか言わんのやろなって。
そう思ったら言葉を飲み込む代わり溜め息が漏れる。
「別にええけど、そーいうのあらかじめ俺には言っとけって
一緒に住んでるんやし」
めんどくさいなーと思いながら、荷物の方に向かおうとした
その時やった。
思いもしなかった言葉をかけられたのは。
「…一人やで」
は?
「おーくら、もうええよ
俺の『恋人ごっこ』、付き合ってくれんでも」
…それが目の前の章 大から発せられた言葉やと気づくまでに時間がかかった。
何でそんな、冷たいこと。
お前らしくもない。
「ごっこって何…何でそんなこと言うん?」
俺、俺は俺なりに、ちゃんと章 大のこと大事にしてたし
ずっと一緒に居れたらって思ってた。
なぁ、嘘やんな?
いつもみたいに言うてよ。「ごめん、何でもないよ」って
そしたら俺も笑って許したるから。そんでまたお前のこと喜ばせるから。
俺、お前のこと笑顔にすんのは、割と得意な方やん?
「好きでもないしつこい男が自分から離れる言うてんねんで?せいせいするやろ?
…次の住まいには、一人で住む。場所ももう教えへん」
何でそんな、苦しそうな顔して。
俺を遠ざけようとしてんの。
その次の言葉なんて、聞きたくない。
「この部屋、出たら…俺ら、もう全部終わりにして
そんで距離置こう」
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ゆ(プロフ) - よつげさん初めまして。全部完結まで読みました。これからも頑張って下さい。そして緑青のお話好きなので忙しなければまた書いて下さい!これからも楽しく読まさせていただきますね。 (2020年6月20日 6時) (レス) id: f7e2b3d28c (このIDを非表示/違反報告)
雨悠(プロフ) - 伝えてないだけでちゃんと大切に思ってるのがわかって安心しました!毎日楽しみにしています!!! (2020年6月10日 15時) (レス) id: de14c26198 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - こんばんは。今回のオクラさんサイドのお話、私が思うよりずっとやすすはオクラさんに愛されてたんやな…と感慨深く見守っております。全然長くなってもいいんですよ!中編挟んじゃっても(笑) (2020年6月8日 0時) (レス) id: a88f73c135 (このIDを非表示/違反報告)
jp8727(プロフ) - この作品を見るのが楽しみでしょうがありません...!!これからも楽しみにしてます、頑張ってください! (2020年6月6日 23時) (レス) id: 541558513a (このIDを非表示/違反報告)
ころん(プロフ) - よつげ腐垢さん!待ってましたo(^▽^)o結末を知ってるはずなのにドキドキそわそわしちゃいます!また二人が幸せになるまで見守りたいです、応援してます(*^^*) (2020年6月1日 22時) (レス) id: 622f97ce5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よつげ腐垢 | 作成日時:2020年5月27日 23時