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何故廃校舎を睨んでいるかというと、その周りに群がっている淡い紫の光が原因だった。
その淡い紫の光は数秒ごとに増えていき、しまいには漏れ出していた。
他から見ればただの不自然に広がる紫の光という認識だが、上位の悪魔、それも争いを好まない善の悪魔には不快な塊なのだ。
「エル・ティアント……」
シユはそう小さく呟くと、黒紫の霧を纏った黒い刀が右手に現れ、その刀をシユは強く握ると廃校舎を切るように横に振りかざした。
「なっ!?何んて事をしてくれる!」
そこに丁度よく、袖にフリルが付いた白いTシャツに青いプリーツスカートに着替え、脇にベージュのパーカーを持ったイルナが、廃校舎を冷たい目で見ているシユに走って近づくと、胸ぐらを掴み怒鳴る。
「アレは攻撃を吸収し強くなるのだぞ!ぬしがしたこと、わかっているのか?!」
「あの不快物の事なんて、嫌って程わかってるんだけど。だから消したんじゃん」
「け……消したぁ!?」
イルナは目を丸くし、廃校舎を見ると、明らかに紫の光の塊が減っていた。
それに紫の光は増えてはいるものの、どことなく集まる速度が先程より遅くなっていた。
まるで近づくのに抵抗があるように。
「い……いったい……いったい何をしたのだ?」
「それは……」
「イルナ、何時もの喋り方どっか行ったね〜」
「ひぇ!!?」
少々イルナが顔を険しくし、胸ぐらを掴んだままシユに問うと、突然ルリがイルナの背中を軽く叩き現れる。
シユも気づかなかったのか少し目を丸くする。
「まあまあ〜、イルナ。シユ、良いことしたんだから離してあげなよ〜」
「あ……シユ様すみません!」
イルナは慌てて手を離すと土下座をし、頭突きで地面をへこませた。
シユは苦笑いでイルナを見ると、頬をかく。
「いや、あれの効果直ぐ切れるよ。光系の得意じゃないから」
「光!?」
大声を上げ、イルナは唖然とする。
それもその筈だ、悪魔にとって光を操るというのは、苦手などではなく、出来ないが一般的である。例え上位やハーフだろうとだ。
それをシユというハーフの上位悪魔は、あれ程数を減らしたというのに苦手と言う。
イルナはあり得ない事に唖然としていると、過去、依頼部が作られる前、に晴が真剣に言っていた言葉を思い出した。
「言いかい?君達の力は異常なんだ。下手をすれば神級の神を越えてしまう位だ」
当時、イルナはその言葉がしばらく忘れられず困惑していた。
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如月 唯奈 - 矢骸 鵺与さん» いえ、大丈夫ですっ!私もオリジナル小説を書いています!一緒に頑張りましょう! (2018年12月9日 22時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
矢骸 鵺与(プロフ) - 如月 唯奈さん» 応援ありがとうございます。改行の方は、今のままで書いていこうと思っているのですみません。ですが指摘はありがとうございます。 (2018年12月3日 22時) (レス) id: 574590adee (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 更新頑張ってクダサイ!応援しています! (2018年12月3日 22時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - もう少し、文と文の間を開けた方が見やすいと思いますよ! (2018年12月3日 22時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:矢骸 鵺与 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年3月8日 19時