参拾肆話 ページ19
ーA視点ー
父親は腕を上げた、そう思った瞬間、
ドガッ!!
『っ凛太郎!凛子っ!!』
二人が殴られた。
凛太郎「わあああん!お父さんやめてよお…!痛いよお…!」
凛子「ごめんなさい…!私達が悪かったよう…!」
父親「…それでいい。」
二人は泣き出し、父親の後を重い足取りで付いて行った。
『っ待て!!』
父親「…口を開くなと言った筈だ。分からんのか。」
『弟と妹を傷つけられて黙ってるやつがいるか!!今すぐ二人に謝れ!!』
父親「ここに来たこいつらが悪いんだ。決まりを守らず、自分勝手な行動をとった罰だ。」
『だからと言った殴る事はないだろう!!謝れ!詫びろ!!』
凛太郎「お姉ちゃん…」
凛子「…お姉ちゃん。」
私は格子を強く握った。
ギシッと嫌な音がしたが気にしなかった。
父親「貴様に指図される筋合いはない。」
父親は足を進めた。
『っ待て!二人に謝れ!!謝れぇ!!!』
バタン
『っ…!』
私は力なく地面にへたり込んだ。
冷たく、乾いた感覚が掌に染みる。
『…ごめんね………こんなお姉ちゃんで…!』
届く訳もない虚しい謝罪が暗闇の中に溶け込んでいった。
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作者名:靉 | 作成日時:2020年10月25日 10時