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参拾伍話 ページ20

ーA視点ー

今日も兄さんが来た。

処刑まであと一週間となり、私も十歳になった。

龍之介「A…」

『何、兄さん。』

龍之介「お前…変わったよな…」

『?』

龍之介「あ、いや、別に悪い意味じゃないんだ。その…なんて言うか…凛々しくなった?」

『そうなのか?』

龍之介「喋り方もかっこよくなったよな。」

『だめなのか?この話し方。』

龍之介「いや、だめじゃない。いいと思うぞ。そっちの方がAって感じがする。」

『そっか。』ニコッ

龍之介「…」

『…?兄さん?』

龍之介「…いや、何でもない。」

『……………………"その笑顔がずっと見られたらいいのに"…』

龍之介「!?」

『そう思っているんだろう?』

龍之介「…Aには敵わないな。」

兄さんが思っている事が気になり、ちょっと予測したら合っていた。

『ふふっ…』

龍之介「ニコッ」

兄さんはどこか悲しく、だけど優しい笑顔を浮かべた。

そしてすぐ真剣な顔になり

龍之介「…………話しは変わるが、いいか?」

『…ああ。』

龍之介「来週、俺が隙を見てここの鍵を持ってくる。その時鍵を開けるから、すぐに逃げるぞ。」

『…分かった。』

龍之介「…これが成功すれば………Aはやっと自由になれるな。」

『…』

私はある二人の顔を脳裏で浮かべた。

龍之介「?どうした?」

『…凛太郎と…凛子…』

龍之介「!!」

龍之介「二人に…会ったのか…?」

私はあの時の事を兄さんに話した。

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作者名: | 作成日時:2020年10月25日 10時

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