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あぁ、彼は帰ってしまうのだろうか。
なんて思っていた私は、彼が次に発した言葉で吹き出しそうになった。


「また、着てもいいですか…?」

「へっ!?」

「あ、いやその…僕の正体に気づいていたのにこんなに優しくしてくれて、その…」

「そりゃ…倒れていたら助けるでしょうよ。」

「不審者だったらどうしたの!?」

 
思わず敬語が取れているまふまふさん。
本人もそれに気が付いて顔を赤くしていた、うん…可愛いな。

 
「あーいや、そんなことを言いたいんじゃなくて……」

「うん?」

「また、こんな美味しいご飯食べたいから…ダメ、ですか?」

「へ…」


 
思わず手に持っていたスプーンを落とす。
え、いいの?これはいいの?…いや、でも断る理由なんてない。
まふまふさんといえば、忙しすぎる歌い手さんの筆頭候補だ。
それの助けになれるのならば。

 
「来るときは、連絡してくださいね。」

「いいの!?」

「え、聴いといてその反応ですか。」

「い、いや…流石に引かれると思った。」


 
いやまぁ、確かに普通っていうかうん。
彼がまふまふさんと知らなかったら引くでしょうよ。


 
「でも、私があなたを助けたように、私もあなたに助けられたから。」

「へ…?」

「こっちの話ですよ。」

「あ…うん…?っていうかごめん。まだ名前も聞いてなかったよね!?」


 
色々と間違えた…何てぶつぶつ言っているまふまふさんが可愛くて
思わず笑みがこぼれる、何だろう私は今死ぬまでの運を使い切ったのではないだろうか?

 
「改めて、その…まふまふです。よろしくお願いします。」

「井沢Aって言います、よろしくお願いします。」

「A…Aね。僕のことはまふって呼んで!」

「じゃあ…まふ君で。」

 
その後は一緒にお皿を洗って、少し話をしたらまふ君の携帯が鳴って。
電話だったらしく、終わったまふ君が少し青ざめた顔をしていた。
どうやら、約束をほったらかしていたらしい…


 
「倒れてたってことで少し見逃してくれないかなぁ…」

「まふ君、これ洋服。」

「あ、ありがとう!!これもちゃんと洗って返すね!!」

「え、いいのに。」

「僕がしたいから!!じゃあごめん!最後バタバタしちゃって!!」


 
嵐のように去って言ったまふ君。
…え、これは夢じゃないよね?夢?


 
「…夢じゃ、ないみたい。」


 
つねった頬の痛みと、トークアプリに登録された彼の名前が現実って教えてくれた。

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切り株(プロフ) - すみません!好評価しようとしたら間違えて低評価押しちゃいました!すみません。応援しています!頑張って下さい! (2019年7月14日 21時) (レス) id: b071ec8f6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Elice | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年7月11日 17時

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