第２０２話 母の形見 ページ9
？「…」
時雨「俺は…俺たちはおっさんを信じて
ここに入ってこれた…
今度は、俺たちを信じろ…！」
？「…ふん わかった
ではここから出ようか」
？「お待ちなさい！」
時雨「！」
あ「…姫さん…」
姫「…！ 昼間の…
それはお母様の形見です…！
お渡しすることはできません！
なぜ…」
あ「刀が目的じゃないの
そこについてるこの宝玉…
これは人間が持ってていいものではないの
集めなければ、大変なことになる！」
姫「それでも…！」
あ「お母さんの形見なのはわかる…！
…私のお母さんも死んだ」
姫「！」
あ「最後は目が見えなくて
私が来たことは分かったけど…自分の姿は見えていなかったと思う」
姫「目が…」
あ「お母さんはいつも言ってた
人のために役に立ちなさいって…
貴方のお母さんだって自分だけのことを考えていたわけじゃないはず」
姫「…確かにお母様は民のことを考えていました…
人のために…自分が正しいと思った道を貫きなさいと…」
姫さんは持っていた薙刀を落とした
おじさんもその場に止まっており
姫さんから目をそらし、背を抜けた
姫「…それでも…お母さんの物が跡形もなくなるのは…
私は嫌です…」
？「…仕方がない…
小娘、刀はあきらめよう
姫よ だが、その宝玉とやらは渡してやってはくれぬだろうか」
姫「いいの…ですか…？」
？「見たところ、私が追い求めていた刀では
なさそうだからな…」
あ「姫さん これを外すために特殊なことがいるの
だから、刀を一旦預からせて？
そしたら、またここに来るから…！」
「そこでなにをしてる！」
「姫様！ ご無事ですか！」
姫「！ 私は平気です！
あの彼女らは……！
あ…」
姫が見た時にはもう目の前には誰もいなかった
昼間の時のように跡形もなく…
あ「おじさん ごめん」
？「気にするな…言っただろう
あれは俺が求めていたものではない」
琥珀「っと！ 捕まえたよ！
おらっ！」
「いたた…！」
？「やはりか…五右衛門よ」
五右衛門「！ 十六夜…さん」
琥珀「知り合い…？」
十六夜「俺のもとを離れた時、俺が持っていた刀の一つ
羅生門を持ってその場を去ったな…」
五右衛門「…すまなかった
その刀が欲しくて…」
十六夜「五右衛門よ 何故、濡れ衣など…！」
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